#3見染められたエフィメラ

#3ヴァルトス城下の旅の一座

音声:「楽しげな踊りの音楽」「鈴の音」(民族音楽が好ましい)

レベッカ「エフィメラー! もうちょっとでヴァルトス中央広場よ。化粧はまだなの?」

エフィメラ(16)「顔を覆うのは、いつもながら息苦しくて。舞台ではちゃんとするわよ」

レベッカ「あとさー、その腰のベルトにいつも履(は)いてる手鏡、今夜の舞台にちょっと使わせてもらえないかしら?」

エフィメラ「だめよ。これは母の形見だもの。お守りなの!」

レベッカ「他に説得力のある小道具もないんだけど……」

音声:「馬の足音」(フォーンス王が立ち寄る音)

フォーンス王「なんと、あの娘……瓜二つではないか!……ルシフィンダに!! こんなことがあるのか……いや、手に入れてみせる! 今度こそ……ルシフィンダ!」


#3-2(苦渋の選択)

エフィメラ「ジョバンニ、私は強いのよね?」

ジョバンニ「エフィメラ……」

エフィメラ「きっと帰るわ。だから、劇座を守ってね。そのために、私を使って欲しいの」

ジョバンニ「ああ、君は強いよ、俺なんかよりもずっと……だけど!」

エフィメラ「約束して。私が戻ったそのとき、おかえりなさいと、言って欲しいの」

ジョバンニ「約束する」

ジョバンニ(M)「エフィメラ、君のことは幼い頃から知っている。俺が座長のところへ弟子入りしたときから……なのに、どうだこのありさまは。こんなとき、君に何一つしてやれない。なのに君は笑っていくんだな。こんな俺たちのために。劇座のために……」

ベンジャミン「あら、最近のあの子なら、お貴族様のまたぐらくらい、蹴り上げてきそう! ま、それも困るんだけど!!」


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