「イトーヨーカドー？」

　僕はいささか怪しいと思いながらも復唱して顔をあげた。

「いとよかこでのー」

（とてもよい娘ですよ）

　おばあさんは行商の大きな荷物を肩から下ろした。

　大安売りだ。

　全自動温水噴射式便器のようにそうそう買うものではない。一生ものだ。

　おばあさんの孫娘なんて。

　まだ、いくつだって？

「じゃすこのこたーすかんかねー」

（それではこの子は嫌いですか）

「とんでもない！　とてもかわいらしいお孫さんです」

「だいえー」

（ですよね）

　おばあさんが孫娘を片手で前へ突き出した。

　孫娘のほうは神妙な顔をしている。

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