第17話 敗北

 空を見上げると、炎が上がった巨大なヒッチコックが、首をだらりと下げ、落下していく。

 2匹の残りのヒッチコックは進路を変え、どこかへ飛んで行った。


「はぁ…はぁ…はぁ…。こんなの…まえの師匠もやらない…」

「『コンテニュー』の時に身についた能力だ。戦闘については、正直良く分からない。以前は戦闘なんかとは無縁の、ごく平凡な生活をしていたからな。でも、この身体がとんでもないってことは分かる」


 俺の背中にしがみ付いていたクロエが、飛び出した。

 細い金髪が陽にあたってキラキラ光っている。


「色々説明しないとならんの。アーサー、お前自身のことを。とはいえ、それはあとじゃ。大将をやったとはいえ、魔王軍は討伐体と戦闘中じゃ。助けに行かんとならんの」


 レイナが俺の腕をそっと握って、地面に降り立った。

 もうちょっと抱きついていてもいいんだぜ。


「このまま戻って、討伐体と合流しよう。でも、アンナならきっと」


 俺たちは来た道を戻り、討伐隊と合流した。

 アンナが率いるウィンドリー小隊の活躍によって、既に魔王軍は撤退していた。


 この戦闘で、討伐隊は魔王軍からユニオンを奪い返し、魔王軍幹部の巨大ヒッチコックを駆逐した。

 これは大きな勝利だと思われた。

 しかし、セント・ソクラテスからの伝令により、俺たちは知ることになる。

 勝利などではない。

 とてつもなく大きな敗北だった。

 魔王サタン率いる魔王軍本隊がセント・ソクラテスに侵攻し、セント・ソクラテスが壊滅したのである。


<~浅川零が『コンテニュー』できるまで、あと、589億2101万シリング~>

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めっちゃ魔界村! @php

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