第3話 まとめて面倒見ます。
しばらくの、沈黙があった後にいきなり獣族の子がいきなり、話しを始めた。
「ねえねえ、お名前はなんていうの?」
「ん、そういえばまだ言ってなかったっけ。俺はセイジって言うこの店の店主だよ」
「お兄ちゃん、マスターさんなんだ!」
「別に好きに呼んでくれていいけど、本当はコスプレだよね、まさか異世界から来た訳じゃないんだから。」
その時、唯一の人間の人が話し始めた。といっても青い髪をしていて、剣を持っている人だけど。
「ここは、どこなんだ?」
「えっ、本気で?」
「なんで、さっきから疑うんだよ、斬るぞ!」
そういってそいつは剣を振った。反射的に体をそらすとさっきまで自分のいた空間に剣が向けられていた。
これはヤバイな、とりあえず信じた振りをしておくか。そう思った時に、金属が落ちる音がした。そこを見ると獣の小さい子が何か落としておどおどしている。かわいい。
「ほら、あれ商業ギルドカードだろ」
ドヤっとこっちを見てくる戦士。
「わかったから、その剣をしまえ」
「やっと信じたか!」
その、金属はよくわからない色に輝いていた。ここまで見せられると何も言えない訳だ。ただひとつを除いて。
「じゃあ、なんで日本語が話せるの?」
「そんなことで疑ってたのか、それならミルヒの能力で翻訳してるんだ」
ミルヒ、えっとエルフの子か。
「ミルヒ、切ってくれ。」
マークがそういうと、ミルヒは何か唱え始めた。
その時、獣族の子確かスノウが何か話し始めたが確かに意味がわからなかった。そして、また唱えると、日本語になった認めざるを得ないだろう。
「わかった、認めるよ。それとお詫びにコーヒー淹れるから、コーヒー大丈夫?」
「こーひー?なんだそれ?」
「んーと、あったかい飲み物で苦いやつ、かな?」
「大丈夫なの!」
「じゃ、よろしくマスター!」
「お願いします、マスター」
「じゃあちょっと待っててくれ」
俺はコーヒーを淹れに厨房に戻ってまた照明をつけた。三人は口々に光魔法とか言っていた。本物なのかな?
コーヒーを淹れて戻ってくると三人共興味津々に見ていた。
「コーヒー、お待たせしました。」
「これは、何なの?」
「それは、砂糖。で、こっちがミルクね。」
その時、三人共ブラックで飲み始めたが結果は予想がついていた。
「苦いなの。」
「う、うまいな…」
「すごい新しい味、美味しいです。」
「えっと、苦かったら砂糖とミルク入れていいんだよ。」
無言で三人共砂糖とミルクを入れ始めた。そういえば砂糖って高級品とかだったりするのかな。
ちなみに三人共、美味しそうにコーヒーを飲んでいた。というか、マークだっけ絶対最初無理してたんだな。
「赤い月がなんたらって結局はなんだったの?」
「あれは、魔法災害だったんだろう……」
「魔法災害?」
「ええ、魔法災害っていうのは簡単に言うと爆発。世界にある物、全ては魔力を持っているの特に月と太陽は、そのどちらもの魔力が重なって大規模な爆発が起こるらしいの。」
「で、爆発するとどうなるの?」
「それは、まだよくわかっていないんだ。」
「まあ、伝説では天にある扉が爆発で開いて、巻き込まれるとバラバラになるか、違う世界へ行けるか……」
「それで、異世界からこっちに繋がったんだ。」
「そういうことになるなの。」
三人は口々に説明してくれる。
「お前ら本当に異世界の人間なのか?」
「またそれか。それなら本当だ」
なんとも設定が複雑だしさっきからの反応を見ても嘘はついていないはずだ。
そんなことを考えているとスノウが話し始めた。
「それで、お願いがあるなの」
「ん? なんだ?」
「ここに、住ませて欲しいなの」
「私からも、頼む」
「お願いします」
また剣を抜こうとしている。
この状況、断れる訳がないだろう。しかし、これ以上人が増えると養っていけな……そうだ!
「なあ、家に住ませるのはいいけど、ここカフェなんだ。店、手伝ってくれないか!」
「おまかせするなの!」
「私はバイトだったけどスノウは店員、ミルヒは店長やってたから、それは期待してもらって構わないぞ」
「ええ、お任せ下さい」
来た、これは行ける。経験者三人雇ったら凄い出費だがタダで働いてくれるなら。しかも、可愛い。お客さんも増える。
「ねえ、マスターお腹すいたなの」
「なら、なんか作るよ、適当なところに座って待ってて」
「はーいなの」
「楽しみに待ってるぞ」
「マスターの料理楽しみにしていますね」
よし、四人分か何を作ろうかな。まあ、余り物のバゲットでサンドイッチでも作るぐらいでいいか。賄いも最近手抜き気味だったからな。
今日の余りのサラダようの野菜からレタスとトマトを使おう。
まずは、バゲットを切る。パンを切るための包丁を使ってと。ああ、案の定マークが見ている。見たことない形状だからだろうか。
次にトマトを薄く切って挟めるようにする。そしてレタスは刃物を使わずに手でむしる。こうすると鉄臭くならないから、生で食べる時にはこの方法でと。後は、家用の市販のハムを挟んで、出来上がり。
簡単だがまあ在庫も処分できてしかも食べやすいから一石二鳥だ。
適当に切り分けて皿にのせて運ぶとかなり空腹だったようで先を争うように食べ始めた。俺も腹が減っているのでそれに参加した。
まさか、明日朝起きたら居なくなってたりしないよな。
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