第6話 アイデアシューター

 早瀬ぎょいという人物がいた。彼は、アイデアシューターという道具をもって革命軍に参加していた。

 革命軍は国際連合に敵対し、金銭原理による道徳的世界秩序に反乱していた。ぎょいには革命軍の活動理由などどうでもよかったのだけれど、なんとなく、自分が加勢するのは国連より革命軍のが面白そうだと思って参加していた。

 早瀬ぎょいのもつアイデアシューターは遠隔読心機である。地球上のすべての人の心の中を読み、最も優れた着想を出力する道具だった。これをもっているぎょいは世界で最も賢い人といわれた。それで、ぎょいは革命軍の軍師をやっている。

 国連が横暴を振るい、独裁者たちを容認するので、革命軍は独裁者たちを順番にやっつけていたが、早瀬ぎょいも戦っていた。アイデアシューターを使えば、敵の心が読めるので、ぎょいは常に敵の先手を打って戦うことができた。早瀬ぎょいに適う相手はまずいなかった。

 革命軍の首領バクマが早瀬ぎょいのアイデアシューターはみんなのアイデアを盗んでいるのでよくないと注意したが、ぎょいはアイデアシューターによって全人類の考えたことが漏らさずデータとして保存され解析されるのですといって反論した。

 そんな早瀬ぎょいに強敵が現れた。精神病患者である。名を蜘蛛塚拓馬といった。

「あなたはぼくを監視していませんか。なぜかはいえませんがね。なぜかはわからないですけど、いろいろな啓示がありまして、あなたがぼくの着想を盗んだとどこからともなく聞こえる声がいうんですよ」

 蜘蛛塚拓馬は精神病だったので、アイデアシューターでは読み取りが若干ズレる。そこに一抹の不安があったが、早瀬ぎょいは慎重に対処した。なんかよく理解できない狂った考え方をした蜘蛛塚拓馬に対してどう戦ったらいいか、アイデアシューターに聞く。すると、世界中の人の考えの中から最も賢い作戦を教えてくれるのである。

 最も賢い方法とは、道を通る空気を払いのけることであった。そしたら、空気が竜巻となり、精神病患者蜘蛛塚拓馬を吹き飛ばしたのだ。

「なぜ、こんなことが起きるのかはわからないけど、たぶん、世界のどこかに手を払うだけで竜巻を起こせる賢人がいるのだろう」

 そして、精神病患者を倒した早瀬ぎょいは、革命軍で世界すべての発明発案を行った。

「ここ二年間の間の発明発案はすべて革命軍で考えだされたものである」

 それは嘘だったけど、アイデアシューターによって革命軍は国連を倒した。

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