ENDING
2014/9/29 Mon.
[GINJI×*]
夢。
夢を見ていた。
見た目は幼女中身はアラフォーな電子遊戯の神に『げえむ』を持ちかけられる夢。
クリア報酬は『シューティングゲームの復権』。
銀路が望むゲームの未来を切り拓く端緒。
藍華と乃々を
二人の協力プレイにより美事ラスボスを撃破。
銀路は、『げえむ』をクリアした。
グラディウスのボス戦BGMで目覚めた朝。ベッドの中でぼんやりと思い返す。
「夢……か?」
現実にあったのかどうか判然とせず、もやもやした気持ちを抱えながら登校する。
「乃々」
『げえむ』のことを確認しようと早々に乃々に声をかけたが、彼女は立てた人差し指を唇に当ててナイショの合図。その口元には悪戯っぽい笑み。
そういえば、学校では友達であることは秘密だった。
「あ、じゃぁ、放課後に」
コクり、と頷いて乃々は前に向いてしまう。
銀路も、鞄から教科書を取り出して授業の準備を始める。
「あれ……」
違和感があったが、銀路の鈍感力がその違和感の正体を気づかせてはくれなかった。
「昨日、『式神の城』やっとクリアしたぜ!」
「『ガルケーブ』面白いぜ、お前もやってみろよ」
「ケイブ、次は『怒首領蜂 最大復活』か……予想通りだな!」
休み時間になると、シューティングゲームの話題で盛り上がるクラスメート達の姿。
「夢じゃなかった……のか?」
急激な『シューティングゲームの復権』は、嬉しいというより不気味だった。
「藍華姉!」
放課後、校内巡回する藍華を見つけた銀路は、一刻も早く『げえむ』のことを確認したくて駆け出していた。
「こらこら、いくらお姉ちゃんに会えて嬉しいからって、廊下を走ったらだめだぜ?」
何かがズレた世界の中で、知っている通りの藍華の声に、安心する。
「藍華姉、遊ちゃんのことは覚えてる?」
「……遊ちゃん? 銀くん、乃々ちゃんに飽き足らず、他の女の子にまで手を出そうっていうんなら、お姉ちゃんは黙ってないぞ?」
だが、銀路の安心はすぐに不安へと置き換わった。
「そんなことより、生徒会室にこないか? テレビにセガサターンが繋がってるぞ」
「え? いやいやいや、生徒会室でゲームとか、ダメだろ?」
「何を言ってるんだ、銀くん? シューティングゲームは教育にいいと文部科学省のお墨つきが出たじゃないか。授業中でもなければ咎められることはない」
「え、そんなはずは……それに、生徒会の仕事だって……」
いくらなんでも無茶苦茶だった。
「細かいことは気にしなくていいからさ。生徒会室で『怒首領蜂』の特訓だ! あたしを攻略した銀くんなんだから、火蜂ぐらいすぐに倒せるようになるさ」
銀路の当惑などまったく気づかないように、強引にその手を掴んで連行しようとする。
「ごめん、藍華姉!」
たまらず銀路はその手を振り解いて、玄関へと走る。
銀路は、とにもかくにもいつものゲームセンターに行きたかった。
『レイディアントシルバーガン』をプレイする乃々の笑顔を盗み見て安心したかった。
パターン通りの魔女の姿が恋しくて、学校から真っ直ぐゲームセンターへと向かう。
目を瞑っていても辿りつけそうな『レイディアントシルバーガン』の筐体。
ひっそりと、他に誰もプレイヤーがいない中、魔女のような尖り帽子と黒ずくめの少女が孤独にプレイしていた場所。
銀路と、そして藍華が加わっても、三人しかいなかった静かな場所。
なのに。
今、その狭いスペースに、二十人ほどの人集りができていた。
「すげぇな……」「ここまでの精密プレイは難しいけど……参考になるな」「あそこで、スプレッドの爆風を利用してチェーンを繋ぐなんて……」「おいおい、チェーン数おかしいだろう?」
彼女のプレイを称える言葉。乃々のプレイにギャラリーが集まっていた。
人集りに遮られ、銀路は乃々のプレイする姿を見ることができない。
あの、筐体に向けられる極上の笑顔が、見えない。
銀路の見えないところで、乃々は、ギャラリーを、盛り上げながら攻略を進めている。
エンディングを迎えたのだろう。
ギャラリーから拍手が起こる。
「ありがとう、みんな」
ギャラリーが道を開け、その中心に屈託のない笑顔を見せる乃々の姿が見える。
「あ、銀路くん。もっと早く来て前の方で見て欲しかったわ」
拗ねたように言いながら、こちらへとやってくる。
「彼氏さんの登場かい?」
ギャラリーの一人がそんなことを言うと、ヒューヒューとからかうようなヤジが飛ぶ。
「そ、そんなんじゃないですから! ほ、ほら、銀路くん、こっち」
顔を真っ赤にして銀路の手を取ると『レイディアントシルバーガン』の筐体から離れる。
引っ張られて、フロア隅の閑散としたスペースへと連れていかれた。
道中、銀路の心はざわついていた。
上級者のプレイを見て何かを得ようとする、ゲームへの熱を共有する仲間達。
先ほどの光景は銀路が望んだ光景のはずだった。
なのに、銀路にはなんだか受け入れ難いものがあった。
「やっぱり、シューティングゲームと違ってオワコンの格闘ゲームの周りは、人がいなくて落ちつけていいわね」
どうやら『シューティングゲームの復権』で割を喰ったのは格闘ゲームだったらしい。
だけど、だからといってフェアプレイを愛する乃々がこういう特定ジャンルを馬鹿にしたような発言をするのは違和感があった。
銀路の違和感になどまったく気づかないように、乃々の顔には柔らかい笑みが浮かぶ。
前髪を左右に開き、赤いアンダーリム眼鏡の奥の瞳が露わとなった顔。
その服装は尖り帽子に黒ずくめな魔女を意識した姿ではない。白いシャツと紺のスカートの制服の夏服姿だ。前髪はインベーダーの飾りのついた黄色いバンダナで留めている。
しかも、
「笑ってる……のか?」
「何を言っているの? 確かに、昔、少しだけ笑えなくなっちゃった時期はあるけど、これだけの人がゲームセンターでわたしのプレイを称えてちやほやしてくれたお陰でね。すぐに人間不信なんか克服できて笑えるようになったわよ。お姫様にでもなった気分かしら?」
『シューティングゲームの復権』により、乃々のプレイは衆目を集めるものとなった。
ならば、銀路でなくとも、乃々のプレイを称える人間はいくらでも現れたということだ。
得意げな乃々のレンズの奥の瞳には、困惑した銀路の姿が映っていた。
『笑わない魔女』『笑えない魔女』は、もういなかった
銀路が憧れたストイックな『ゲームセンターの魔女』さえも、いなかった。
そうなれば、
「……君は、誰だ?」
寒気がして、思わずそんな言葉が口を衝く。
「誰って……真城乃々に決まってるじゃない。わたしを攻略しておいて、この顔を忘れちゃったの?」
銀路の言葉を冗談と捉えたのか、拗ねたような可憐な笑みを浮かべながら乃々は答える。
銀路を特別と思ってくれてはいるような口ぶりだが、違う。
生徒会室でゲームをしようと誘ってくる藍華もおかしかったが、乃々は決定的に違う。
こんなのは、銀路の知っている、銀路が仲間として求めた乃々じゃない。
恐怖が心を満たす。
『げえむ』に関わった二人が、銀路が
こうなれば、元凶に当たるしかない。
善は急げ。
銀路は乃々を無視して踵を返す。
「ちょっと、銀路君! どうしたの?」
乃々の制止を無視して、銀路はエスカレーターを飛ぶように駆け下りた。
ゲーセンを出ると、迷路のような下町の路地をでたらめに走る。
木造のレトロなゲームセンターを求めて、走る。
あれは、電子遊戯神の戯れで産み出された場所。
辿りつける保証はない。
だけど、銀路は辿りつける予感のようなものがあった。
明らかにおかしい世界。
ちょっとした方向性を決める程度の意識だった『シューティングゲームの復権』が、歴史の改編という想定外の形で叶えられた未来。
とにかく、遊ちゃんに会ってなぜこんなことになっているのかを問いつめたかった。
気がつけば、木造の工場に囲まれた路地のどんづまりに辿りついていた。
年期の入った店舗の外壁には、色あせたポスターと、テープで補修した磨りガラスの窓。
店内からは、ピコピコした電子音。
銀路に取って心地良く響くはずのそれが、今は不気味でしかなかった。
観音開きの扉を開くと、電子音がはっきりと聞こえるのではなく、世界が変わった。
「遊ちゃん」
「やはり来たの。銀路よ」
ポリゴンで構成された世界に安っぽいテクスチャの雲が流れる中、宙に浮かんで銀路は和装の電子遊戯神と対峙していた。
「一体、これはどういうことだ?」
「主の望みを叶えたまでじゃ。神としてクリア報酬はきちんと支払わねばの」
「ふざけないでくれ! 俺が望んだのは『シューティングゲームの復権』だ。せいぜいが、新作がもう少し出ればいいな、ぐらいのものだった……」
「ほほ、すまんの。復権させようとしてちょっとばかり勢い余っての。シューティングゲームに覇権を握らせてしまったわい。ケイブの株価が凄いことになっておって楽しいぞ」
カラカラと本当に楽しげに笑いながら、遊ちゃんは言う。
銀路は今更ながらに己の迂闊さに気づく。
得体の知れない神の甘言に疑いなく乗っていたが、そもそもこの神が本当に電子遊戯の神かも解らない。
電子遊戯に絡んだ不可思議な力を持っているからと安易に信じていたが、銀路を言葉巧みに操って絶望させようとする悪魔だったという可能性だって、否定できないのだ。
「大方、今更になって我が電子遊戯の神ではない可能性でも考慮しておるのじゃろうの。流石は努力と根性で試行錯誤をモットーとしておるだけはある。まずは失敗してみるとはのぉ」
嫌みな、意図的に銀路を不快にしようとするような声音だった。
「じゃが、我は間違いなく電子遊戯の神であるぞ。その上で、日本の神はいい加減じゃと最初から言っておったのにのぉ。いい加減な神なのじゃから、復権のつもりが勢い余って覇権を握らせるぐらい、あって当然の結果じゃ。それぐらい当てにならない約束じゃと、試行錯誤せずとも挑む前に気づけばよいものを」
好き放題に言う遊ちゃんの言葉に、銀路は反論できない。
まずは、予断なく与えられた状況に対する。
当然、対処しきれず失敗する。
失敗を反省する。
そこから、失敗を克服する戦略を練り、戦略を遂行するための戦術を磨く。
『死んで覚える』プロセスが染みついた銀路を、遊ちゃんは嘲弄している。
「そもそも、本当に主は『シューティングゲームの復権』を渇望しておったのかの? 我に誘導されるがままに、それを望んだにすぎんのではないか?」
心に刺さる指摘だった。
「主は、試行錯誤する上で『目的』という張り合いが欲しかっただけじゃ。まぁ、主が『シューティングゲームの復権』を望んでおったことに嘘はないのじゃが、そこまでの熱はなかったのじゃよ」
事実だ。
あのとき、心にふと浮かんで「これだ!」と飛びついたにすぎない。
「おかしいのぉ。熱くなれる『古き良きゲーム』が淘汰されぬ未来を求めておったのに、それほど熱くなれない願いを賭けておったとは」
じわじわと銀路の心が抉られていく。
ゲームへ向けていた情熱、その根本が揺らいでいる。
「この結果は、そんないい加減な想いで神の用意した『げえむ』へ臨んだ罰とでも思うがよい」
安易な考えでゲームの未来を無茶苦茶にしてしまった。
後悔しても仕切れない。
努力と根性で試行錯誤しようにも、残機は尽きた。やり直しはきかない。
死んだら終わり。
ゲームオーバーだ。
足下が、覚束ない。
上下も解らない異界の中、電子遊戯神の前で、銀路は膝から崩れ落ちる。
「さて、さんざんな気分であろうがの……実は、『げえむ』はまだ終わってはおらん」
くずおれた銀路へ、神の声が降り注ぐ。
「ほれ、ロールプレイングゲームでよくあるじゃろう? 勇者が魔王を倒した後、お城へ帰ればエンディングじゃが、真っ直ぐお城に帰らずに平和な世界の中を歩き回れるというのが。これは、そういう演出じゃ。よって、このまま銀路が家に帰ればエンディングが始まり、この世界は続いていくが、どうする?」
「そんなの……嫌に決まってるだろう」
這いつくばったまま、力なく泣きそうになりながら銀路は口にする。
ゲームの未来だけでなく、藍華も乃々もおかしくなってしまった。
己の理解者の二人が、変容した。
そんな未来なんて考えたくもなかった。
「まぁ、そうじゃろうな。で、じゃ。朗報なのじゃが、ゲームにはクリアボーナスというものがある。当然『げえむ』にも用意しておったのじゃ。主は確かにそれを手に入れておる。スコアが大幅アップじゃ。して、ゲームにもよりけりじゃが、特定のスコアに達すると何が起こるかのぉ?」
銀路は顔だけで遊ちゃんを見上げる。
「まさか……エクステンド?」
エクステンドとは、残機が増えることだ。1UPなどとも言われる。
[GINJI×1]
「正解じゃ。『げえむ』はまだ続いており、残機もある」
「な、なら、やり直せる……のか?」
上半身を起こす。
座り込んだ状態になって、銀路は問う。
「今はエンディングへ向かうだけの状態じゃ。ラスボスを倒した後のスコアでエクステンドしたとて、もう敵はおらんからの。やり直そうにも、もう残機を潰すことができんのが道理」
上げて落とされて、再びへたり込む銀路の姿を見つめ、
「……普通ならば、の」
ニタリ、と遊ちゃんが笑んで言葉を継いだ。
「ところで主は、『ドルアーガの塔』は知っておるかの?」
「知っている。両親がやってるのが楽しそうだったんで、小学生の頃にやりこんでクリアしたことがある」
『ドルアーガの塔』とは、悪魔ドルアーガを倒し囚われの巫女カイを救うべく、金色の鎧に身を包んだギルガメスを操って六十階建ての『ドルアーガの塔』の攻略を目指すゲームだ。
見下ろし型の格子状の迷路になったマップの中、鍵を取って扉を開ければ階段が現れ、次の階へと進んでいく。
だが、それだけではクリアできない。各階に隠された宝箱を見つけ出し、新たな装備でパワーアップし、クリアに必要なアイテムをそろえて初めて、クリアできるのだ。そういったゲーム性は、アクションロールプレイングゲームの走りとも言える。
「条件を満たさずとも先の階に進んでしまえるこのゲームで、五十九階におるラスボスのドルアーガは倒さずとも六十階への扉を開くことはできるの。じゃが、そのまま進もうとすると、どうなる?」
「下の階に落とされる……いわゆる ZAP だ」
そう、これが単純に鍵を取って扉を開けているだけではクリアできない理由だ。
宝箱を見つけ出してアイテムを揃えないと、ドルアーガは倒せない。
その上、ドルアーガを倒さないで先に進もうとしても、ペナルティが発生して強制的に相当下の階層まで戻されてしまう。この、前の階層に戻されてしまうペナルティが ZAP と呼ばれるものだ。
そこで、遊ちゃんの言わんとしていることを悟り、銀路は勢いよく立ち上がる。
他にも幾つか条件は存在するが、『ドルアーガの塔』の ZAP は、総じてクリア目前で発動する。特に、ドルアーガを倒した後に余計なことをしても発生するので、油断はできない。
そうして、思い至ったのだ。
もしも、『げえむ』に ZAP が存在するのであれば。
エンディング間近の今からでも、強制的に戻されてやり直すことができるのだ。
「どうすれば、 ZAP できるんだ? ここで、遊ちゃんを倒せばいいのか?」
『ドルアーガの塔』では最後の最後に救い出すべき巫女カイを剣で倒すことも ZAP 条件の一つだった。
「それでもよいが、そんな面倒は必要ない。主は ZAP の条件を満たしておるからのぉ」
再び向き合う形となった遊ちゃんが、また、ニタリ、と笑う。
「何せ主は、『
遊ちゃんの言葉に、ハッとする。
「それに、主自身も心の底では納得しておらぬのであろう? あれではよくなかったのじゃ」
あのとき「これでよかったのだ」と何度も自分に言い聞かせていたのは、心の底ではそう思っていなかったからに他ならない。
「つまり、俺が自力クリアしないと本当のエンディングへは辿りつけない……」
「そういうことじゃ」
自力クリアは、乃々と藍華に任せることに比べて格段に難易度が上がる。
だからこそ割り切って二人にプレイを任せたが、心の底には忸怩たる思いを抱えていた。
「ただ、 ZAP はペナルティじゃからの。代償とバランスを取って、賭けの報酬を変更させてもらうぞ」
「言われるまでもない。そもそも、神によって与えられるような歪んだ『シューティングゲームの復権』なんて、いらなかったんだから」
「そうであったの……なら、主が美事『
「ああ、それでいい。あんな藍華姉と乃々、見ていられないからな」
銀路は、元の藍華と乃々を取り戻せる可能性が示されたことに心から安堵する。
「じゃが、ペナルティであることを鑑みて、もしも主が自力クリアに失敗した場合には、この未来を現実とさせてもらおう。主にとっては不本意極まる、シューティングゲームが覇権を握った世界で、主には一生を送ってもらうことになるの」
「……」
予想はついていたが、厳しいペナルティに言葉を失う銀路。
『
試行錯誤は限られた『げえむ』の時間内のみ。
失敗したら後がない。
戦略的撤退を選択してもおかしくない、今の自分の力を大きく越えた絶望的なクリア条件。
なのに、沸々と闘志が湧き出てきた。
ゲーム攻略への熱が心を満たす。
「それぐらいのペナルティを跳ね返すだけの気概がなければ、自力クリアは無理だろう」
銀路は、己を奮い立たせて遊ちゃんの条件を飲む。
不思議と怖くなかった。
「では、その他のシステムは同じじゃ。今回も一箇所だけ、やり直す機会を与えてやろう。後はない。くれぐれも注意して選択肢を追加するのじゃ」
これまでの三機の『げえむ』内容を思い返す。
二人に任せるのは論外だが、二人と共にあらねばクリアは不可能だろう。
それでも、ただ共にあるだけでは自力クリアは無理だ。
ならば……いや、でも、それで、いいのか?
即座に思いついた方策に、銀路の矜持がストップをかける。
この方策は、銀路のポリシーに著しく反する。
乃々に惹かれながらも、頑なに護ってきた一線を越えることになる。
葛藤があった。
「だが、これしか、ない……」
それでも、いくら考えたところで、今の銀路が立てられる戦略はこれしかなかった。
泥臭くても不格好でも確実なクリアを目指すのもまた銀路の信条だ。皮肉なことに、割り切って藍華と乃々に『
それに、先ほど遊ちゃんに示された厳しいペナルティに絶望しなかったのは、この戦略が頭の片隅にあったからだ。クリアの可能性が見出せていたからだ。
でなければ、自力クリアというハードルへ挑む気概は湧かず、ペナルティを聞いた時点で絶望のバリアに包まれて心が折れていただろう。
「ふむ、決まった、かの」
遊ちゃんの言葉と共に、世界の色が変わる。
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