ROUTE1
STAGE1
2014/9/13 Sat. - 1
[GINJI×2]
清涼な朝の空気の中、16ビートの軽快な矩形波の音楽が流れ出す。
『グラディウス』のボス戦BGMだ。
発信源は、MP3対応の目覚まし時計。
唐突に、音楽は途切れる。
「ん? そういえば、昨日ゲーセンで『グラディウス』やったよう、な?」
銀路は、寝起きのぼんやりした頭で思い返す。
『ファンタジーゾーン』をクリアした喜びはクラスメートには理解してもらえず、藍華からは『笑わない魔女』のことで窘められたり『火蜂』攻略を薦められたりして、『テレビテニス』でゲーム性の原点を確認して、ゲーセンで魔女のような出で立ちの少女を見かけて『ファンタジーゾーン』のワンコインクリアを改めて達成して、それから……家に帰って夕飯を食べて風呂に入って寝た、はず。
なのに、夢の記憶か、妙なイメージが頭に残っていた。
レトロなゲーセンで、見たことのない、だがシステムには既視感のあるゲームの前に座っていた。誰かが側にいたような気もするが、よく思い出せない。
曖昧な記憶の中、ふと、一つのフレーズが鮮明に甦る。
――シューティングゲームの復権。
銀路が憂えたゲームの未来に対する打開策。
弾幕系に進んでご新規お断りになりユーザが離れていった上に、一部制作サイドの人類への挑戦が好事家連中の嗜好品へと仕立ててしまったジャンルの復権など、馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
だが、『げえむ』をクリアすればそれが叶う。
誰かと、そんな話をしていた気がするが、
「本当に、そんなことがあったのか?」
具体的なことは何も思い出せない。
願望が見せた夢と考えるのが妥当だろう。
夢と現の狭間であれこれ考えていると意識が覚醒してくる。
今日は土曜だ。
「そうだ、ゲーセン行こう」
夢で見たゲームのことは思い出せなくとも、リアルにゲームはいくらでもある。
今日は、無性にゲームセンターで筐体に向かってゲームをしたい気分だった。
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