CREDIT 1
2014/9/12 Fri. - 5
「クレジット1じゃ。スタート、するかの?」
「あ、あぁ……」
「それでは、1Pでも2Pでも、好きなスタートボタンを押すがよいぞ」
言って、胸を突き出す。
意図は解ったが、戸惑わずにはいられない。
「気分は大事じゃろう? 女子の体で二つ対になっておるといえば乳房じゃろうて。まぁ、神として幼い我にはそれほど膨らみはないが、そこは我慢しておくれ」
「いや、そういう問題じゃなくて」
人じゃないから羞恥心がないのだろうか? と考えたところで人格神と言っていたから感情は持ち合わせているはずと気づく。
なら、銀路をからかっているというのが正解だろう。
「何を躊躇っておるのじゃ? 合意の上じゃから訴えたりはせんぞ、ほれ」
言いながら薄い胸を更に突き出してくる遊ちゃん。
「わ、解った」
こうなったら、さっさと済ませるに限る。
銀路はおそるおそる人差し指を立て、遊ちゃんの向かって左の胸をつつくようにして、押す。
薄くとも、指先に柔らかい感触が伝わってきて気恥ずかしい。
――ズギャーン
今度はシューティングゲームの開始っぽい銃撃音が響き、
――うむ、1P『げえむ』スタートじゃ。
遊ちゃんの声がする。
いつの間にか、輪郭は遊ちゃんのまま、その姿は光り輝く人影に変わっていた。
さっきまでゲームセンターだった周囲の風景も一変している。ポリゴンで構築された3Dゲームのような背景の中、上も下もなく漂っている自分の姿に気づく。先ほどの異界の風景だ。
このゲームセンター自体も異界で、これが、本来のこの空間の姿なのかもしれない。
――では、占わせてもらおうかの。
遊ちゃんの声が響き、銀路の意識は闇の中へと落ちて行った……
GAME START!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます