第4話 授業が受けたいだけです
「あっ、あの?授業……」
今日も私の声は爆音によってかき消された。ため息をついて持っていた新聞に目を落とす。今日もうちの学校の事が一面を飾っている。
「ですよね」
私の席は窓側の一番後ろ。攻撃魔法が飛んできても教室の隅なのでどうにかすれば躱せる。教室の中心では今日も先生とクラスメートが喧嘩をしていた。
「ねぇ。学級委員長。そろそろ止めな……」
あくび付きの眠そうな声でそう声をかけてきた男子生徒が目の前で倒れた。つつくが起きない。睡眠の状態異常魔法。ランクは中程度ってところかな。先生がこのランクの魔法を使うとは思えないから誰かの流れ弾かぁ。状態異常魔法は禁止されてるのに。後で注意しないと。ちらりと戦場を見ればクラスメートの戦力は3分の1程にまで落ちていた。孤軍奮闘のはずの先生はまだ余裕そうだ。
「それもそうか」
教師は大人でちゃんとした魔法使い。対する私たちはまだジョブもないただの子供。勝てるわけがない。それなのに毎日毎日飽きもせずよくやる。そんなに先生が嫌いなら授業を真面目に受けて強くなってからころ……っと。危ない危ない。そういう悪い考えはいけないんだった。
授業時間も半分くらいになっているし、そろそろ出番ですか。
私は新聞を丸め机をバンバンと叩いた。そしてお願いをする。
「神様神様、今日も力を貸してください!」
バンと叩かれた机が黒い生き物に変わる。よかった、今日はそんなに大きくない。
「何を願う?」
「えっと、みんなを静かにさせて欲しいです」
目を閉じた豚の様な顔が目の前で口を開いた。と言ってもみんなには私の声しか聞こえない。動物と話せるのはこのクラスで私だけなので、それも仕方ない事だ。でも、この動物なんだっけ?昨日は分かりやすかったからよかったけど、今日は何が起こるかよく分からない。まあ、私は授業が受けられればそれで。
数秒後、私は元机の黒い痩せ細った牛の頭を撫でながら先生に怒られていた。
「どうしていつもそういう危ないものばかり召喚するんですか!」
「私が選んでいるわけではありません、先生。全ては神様の善意によるものです」
「どこの世界に喧嘩をおさめるのにクラスメートを全員石化させる神がいるんですか!!」
「今日の神様はそういう気分だったんだと……」
「口答えしない!!全く昨日は学校を半壊させるし、今日は生徒全員石化なんて……」
先生がぶつぶつ言いながらみんなの状態異常を解いていく。
そうなのだ。私は動物と話せる魔法の他にもう一つだけ特殊な力がある。それは神頼みが上手い。と言う事。
お願いをきいてくれる神様はランダムなので同じお願いでも叶い方は違うけれど、神様たちは大体こうやって喧嘩をどうにかしてくれる。
「ありがとう。カドブレパスさん」
「カトプレバスだ。ではまたな」
豚顔の牛さんはそう言って消え、私の机が帰ってきた。昨日のドラゴンさんはこんなにやさしくなかったので今日は当たりの方だと思う。
あーあ、今日も授業はダメだなぁ。全くみんなちゃんと学生しようよ。私はため息をついてひと眠りすることにした。
『授業中に事故?!邪竜が魔法学校半壊!!』
そう写真付きで大きく書かれた新聞を頭に乗せて。
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龍川 那月さんは絵が好きな学級委員長です。
新聞を持ち動物と話せる魔法が使えます。
国語が苦手です。
戦闘能力は低めで主に神頼みです。
生徒VS先生より
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