夢の扉が開いたら
美月
第1話 誕生日
今年もこの夢だ・・・
幼い時から自分の誕生日にこの夢を必ず見る
自分が嵐の様な雷雨の中で雨に打たれ、足元へ金色の一本道が伸びてその道を歩いて光の中へ消える
いつもここで目覚める。
勿論、今年も・・・・
ーピピピッ
いつもの聞き慣れた目覚まし時計で本日、十六歳の誕生日を迎える
「またこの夢か・・・」
物心が付いた時から毎年決まって誕生日にはこの夢で目覚める。
別に雨に打たれる以外、不愉快さはないのだが毎年必ず見る夢に美咲は不安が込み上がる。
何故不安なのかというと美咲には少し変わった力があった。
それは・・・・・
予知夢
これも物心が付いた時からのものだ。
この力を両親や友人に話した事も多々ある。
霊感があるんだと少し騒がれただけであまり取り合ってもらえなかったが、小学一年生の時に遠足で崖から落ちる友人を予知してそれを口に出したらその友人に酷く怒られた。
結果、友人は本当に崖から落ちてしまった。
軽症ではあったのだが予知を口にしていた事で美咲は周りから気持ち悪がられて小学校では六年間浮いた存在になってしまった。
美咲には苦く嫌な経験でそれからは予知夢を見ても決して口に出す事はしなくなった。
しかし、悩みは絶えずこの予知夢は歳を重ねるごとに美咲の能力を高めていく。
だから余計に美咲は不安で仕方がない。
この雷の誘いに自分が足を進めて消えるのはただの夢ではなく予知夢なのではないのかと・・・。
しかし、その夢が現実になる事は今迄なくて美咲は肩透かしを食らう。
自分の予知夢は基本見た日から三日以内に訪れる。
雷の道標なんて非現実的な事なのでただの夢ではないかと思ってはいるもののこうも毎年見るとスルー出来ない自分がいる。
「今日から三日は気をつけよう・・・」
小さな声で呟くと美咲はベッドから降りて寝起きのパジャマ姿のまま部屋を出て行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます