1-5
---サーーーっ---
「んっ」
川の流れる音でエルロイドは目を覚ました。
辺りはもうすっかりと暗くなっており、月明かりが薄暗く照らすのみである。
川辺周辺は木々が少なくなっているため見通しは良かった事が幸いし、エルロイドは辺りを見渡すことができた。
どうやらこの川辺に運良く打ち上げられたのだろう。
手にはしっかりと弓を持っていたが矢筒には殆ど矢が残っておらず、残っているものも打ち上げられた衝撃で半ばから折れたものもあり、使えそうなものはなかった。
腰に差していたナイフは川へ流されたのか何処かに無くしてしまった。
お昼から何も食べてないことを不意に思い出し、全身が濡れたことにより体温も奪われ、空腹感と肌寒さから急に孤独と寂しさを感じる。
「父様、、、。」
エルロイドはポツリと呟き、膝を抱える。
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どれ程の時間か経過しただろうか。
まだ幼いエルロイドには正確な時間は分からないが、それでもかなりの時間が経過したと感じていた。
相変わらず月は辺りを照らし、川の流れる音が静寂さを際立たせる。
「ーーーー!」
何処からか音が聞こえた様な気がしてエルロイドはピクリと顔を上げる。
ーーーーザッザッ。
「ーーひっ」
確かに聞こえた草木を揺らし、土を踏みしめる足音のする方へと視線を向かわせる。
ーーザッザッザ。
その音はどんどん近づいてくるのが幼いエルロイドにも分かった。
急に怖くなり、這々の態で近くの草叢へと隠れる。
「ーーbp#☆→¥$」
訳の分からない言葉を発しながら人影が草をかき分けてきた。
その姿が月明かりに照らされる。
(
その照らされた姿は醜い特徴的な鷲鼻がみえる。その口は耳まで避けて見るものに不快感を与える。
小さな、それでもエルロイドからすれば大きな子鬼が二体その姿を現した。
「#÷×¥☆$°〒?」
「#/&j!!!」
エルロイドは全身を恐怖に震わせたが、小さな両手で口を塞ぎ、必死に声を殺した。
(どうかこっちに気付かずに居なくなってくれますようにっ)
エルロイドの必死の祈りが届いたのか
(ーーーほっ)
エルロイドが胸を撫で下ろしたその時。
「ーーーっ!」
急に腕を掴まれて草叢から引きづり出された。
「#/&€$%€!」
そこには嬉しそうな
「そんな、、、。居なくなったはずじゃあ。。」
「☆*○%$÷>$€$%#!」
「#/&€$€$%#!」
エルロイドを掴んだまま
(、、、うぅ。、、父様、、母様、、、、怖いよう、、、)
エルロイドは必死に恐怖を抑え込もうとしていたが
「っーーー!」
掴まれた腕を放り出されエルロイドは地面に転がされた。
「€€¥$÷°!」
腐臭を漂わせる息を吐きながら腕を掴んでいた
吐き気を呑み込みながらエルロイドは何とか立ち上がろうとする。
「っっあっ!」
その瞬間、
エルロイドの身体は地面を転がり恐怖に強張る身体を更に打ち付ける。
それを見た
「っつ!、、、痛いよぉ、、」
力なくエルロイドが呟く。
その表情は疲労の色が濃く、どうみても幼いエルロイドの体力は限界に近づいていた。
「€€¥$? %°÷☆¥!」
突いても軽く叩いてもあまり反応しなくなったエルロイドを見て
(ああ、僕死んじゃうのかなぁ。)
エルロイドはその光景を見て無気力にそう考えた。
鉈を持った
(父様、、母様、、、。会いたいな)
エルロイドはこれまでの人生を振り返るかのように、両親に囲まれた幸せな日々を思い返す。
「っーーー!」
(死にたくない!、、、痛いのは嫌だよ、、!)
エルロイドの中に急に恐怖心が蘇った。
「うわあぁぁぁああ!!!」
懸命に立ち上がり
「€っ!」
力を振り絞った体当たりは
その手に持っていた鉈は地面に転がっている。
(死にたくないよ、、、!あの鉈を取らなきゃ、、、!)
エルロイドは必死に地面に転がっている鉈を拾おうと飛びついた。
ーーーその瞬間。
腹部に大きな衝撃を受けて後ろに吹き飛ばされる。
「かはっ!」
「€€¥$☆*○%$!」
そのにはもう一体の
エルロイドが鉈に飛びついた瞬間を狙って蹴りを食らわせたようだ。
エルロイドに倒された
「☆*○%$÷>$!」
ゆっくりとエルロイドに詰め寄る姿をみて、再び恐怖が身体を支配する。
(、、、こわいよぉ。、、、父様、、母様、、、。)
「父様ーーー!!母様ーーー!」
いくら叫ぼうが、
しかし、エルロイドにはもう泣き叫ぶことしか出来なかった。
ーーーーーその鉈は、再び振り上げられ月明かりに照らされる。
そして、今、その刃をエルロイドに突きたてようと振り下ろされるーーーー。
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