第2話
「最悪だ……」
なんの前触れもなく、俺は唐突に前世を思い出した。
転生モノと言われる小説にあるような頭痛も違和感もなく。スーパーで買い物をしていて忘れ物を思い出すような気軽さで、俺は前世を思い出した。
幸いと言うべきか、なぜか前世と今生も人格や魂は一緒らしく、前世の葉山海斗はやまかいとも現在のカイン・マグナリアも間違いなく俺だと認識出来た。
「このままじゃ……やべぇよ……」
それと同時に口から出たのは危機感だった。本当なら例によってオタク知識をそれなりに備えた俺は剣と魔法!王族!勝ち組チート!……とお付きのメイドから親に気が触れたとか報告が行きそうなほど狂喜乱舞しただろう。
……だが喜べない。断じて喜べない。生きた人生次第だとは思うけど、前世の記憶を保持してるのは幸運だろう。生まれた家庭もありがたい事に、奴隷とかスラム街どころか、王族。まさに強くてニューゲームだ。やったね!
王族特有の義務や責任、面倒はあっても謀叛や革命、戦争で負けない限りは基本的に不自由ない人生を送れるのだ。最高だ。
…………………………ここが乙女ゲームの世界で、どのルートでも俺が悉く非業の死を迎える悪役じゃなければ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます