……2

ガラガラッ

名前しか知らない友達とも呼べない人たちで溢れかえる教室。

自分の席を確認して着席すると、咄嗟に出たのはため息。

今頃G組では10年ぶりに再開したかのようなリアクションで美咲たちは騒いでいるのであろう。

するとそこに担任になった厳しい生活指導担当のオバサン教師の光村が入ってきた。


光村「はい、着席着席ー。」


どこまでついてないのよ。

なんて思いながら光村の少しシワのたたまれた手が無駄に化粧の濃い顔の前で叩かれるのをひたすらぼーっと眺めていた。


光村「これから学年集会あるから中履き持っていくように。そのままメインアリーナに移動して始業式。そのあとはーー、軽く自己紹介でもしましょうか」


お決まりのパターンね、ハイハイ。

ひとりで中履きを持ってA組からすぐのサブアリーナに移動した。

友達とずーっと一緒がいいなんて思うタチじゃないけど、ひとりぼっちでトボトボとサブアリーナに向かうのはさすがに寂しいものだ。

周りを見渡してもひとりで移動してるのは私くらい。

集団でぞろぞろと動く人の波に飲まれながらもわたしはひとり中履きの袋を握りしめサブアリーナへ向かう足を進めていった。


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