第3話

「むあ」

 我ながら間抜けな声を出したなぁ、と思いつつやけに目覚めのいい朝。

 カーテンをかけた窓から漏れる光を見るに今日も夏らしくうだるような暑さなのだろう。

 今日もこの暑い中大学に行かなければならないとは憂鬱にもほどがある。こういう日は家の中でエアコンを付けながらもう一眠りというのが相場じゃないのだろうか。全く人生というものはままならないものよなぁ。

「あからさまに無視するの止めてくれる?」

 声のする方には、そこには上下赤色のジャージを着た眼鏡の黒髪ストレートロングの女の子。

いや、だってねえ。昨日酒を飲んだとかそういうのもないのにいきなり部屋に女の子が、しかもあんな夢の後にいたらそりゃあ誰でも現実逃避したくなるもんじゃないですか。

「だろ?」

「何が、だろ?なのか分からないから。とにかくあたしが君の夢で話題に上がってたその女の子だからよろしく」

 おかしい、さすがに現実は見て、というかだからこそ現実的な思考を心がけていたのに。

「とにかく今日から隣の部屋に住むから。あんまりうるさくすると殴るからね。それとこれメルアドと携帯の電話番号。登録しといて。じゃ、また夜にでも。もうそろそろ遅れそうでしょ?」

 一方的に言い放って部屋から出ていく彼女。

 しかしどうしようもなくめんどうなことに巻き込まれたものですね。

 まずは目の前のことに集中。講義とやらに出かけましょう。

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