喪失



どれほど草木を蹴飛ばし、上に登ってきただろう?芙美の体力はとっくに限界に達していた。大きな木の根っこにつまづいて、転んで動けなくなった。腕だけで先へ進もうと、芙美は木の根っこを掴む。しかし、1人の男にあっという間に背中に馬乗りにされてしまった。

 「結構頑張ったじゃん、第二ラウンドだ」

 「たっぷり泣き叫べ」

 「いやっ、や、やめっ」

芙美は声を出そうとするものの、震えて思うように声が出ない。それに、雨の音にかき消される。仰向けにされ制服を破られ、白い下着が露わになる。芙美は必死に抵抗する。しかし、足を掴まれ広げられる。抵抗は無意味だった。むしろ、芙美の言動は男たちを楽しませるスパイスだったのかもしれない。雨が容赦なく顔に叩きつけられ、口の中に入る。舌を噛み切ってしまおうかと、芙美は口に力を入れる。でも芙美にはそれすらもできず、ただこの地獄のような時間が早く終わることを祈るほかなかったのだ。





 「はっ、やば、気持ちいいっ」

最後の男が達したころには、芙美の意識は再び朦朧としていた。

 「・・・死んだか?」

 「早く行こうぜ」

 カチャカチャっとベルトを締める音を最後に、男たちは芙美を置いて山を下りた。それから少しして、雨は少しずつ弱まってきた。が、芙美の体温は容赦なく奪っていく。芙美はそのまま目を閉じた。








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勿忘草-私を忘れないで- 千紘 @_bear

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