第3話
「へえ、お前がすげえ能力の持ち主ってやつか!」
「はぁ…どうも…」
指定された待ち合わせ場所に行くと妙にテンションの高い男に出迎えられた。
「俺は高橋龍、大学二年生で能力者やってる。よろしくな!」
やっぱりテンションが高い。
こういう人そんなに得意じゃないんだよなぁと、でも悪い人ではなさそうだし、などと勝手な感想と人物評価を心の中で下していると
「で、お前の名前は?」
そういえば自己紹介すらしていなかった。
「進藤数人です。よろしくお願いします」
「いやー、実は前まで組んでたコンビが解散で新しい供給者のやつとも今日会うのが初めてだからな、俺も緊張してるんだ。どんなやつなんだろうなもう一人は!」
なんでそんなにテンション高くいちいち語尾にエクスクラメーションマーク付けながら話してるんだ、とは思ったが自分からなかなか話せない自分としては気まずい空気が流れない分とりあえずはありがたいのか、と自分に言い聞かせて会話を継続させる。
「僕も何も聞いてませんから全然分からないですね…」
「そうかそうか!ま、上手くやろうぜ!」
その後、他愛もないお互いのプロフィールを言い合っていると高橋さんがこちらに向かて歩いてくる一人の女性を見つけた。
「女の子じゃん、しかもそこそこ可愛い。良かったな!数人!」
「はぁ…」
僕は生返事をしながらその女の子を見る。うん、確かに可愛らしい。
そんなことを思っているうちに彼女は僕らの目の前まで来ていた。
「もしかして新しいバイトの同僚かな?」
高橋さんは僕に話しかけた時の爽やかな笑顔。そしてテンションそのままで
「おう!俺の名前は高橋龍で能力者やってる。そしてこっちは進藤数人、えっと…あれだ新しい力を持ってるってやつだ。聞いてるだろ?」
「うんうん聞いてる。なんか離れてても能力が使えるように出来るんだよね。あ、私は小坂姫佳。よろしくね」
話に入りそこねた僕もとりあえずよろしく、などと言って会釈をする。
「さてお互いの話は仕事場所に行くまでの時間でしようぜ!」
この時僕は不覚にも、というかあの時なら当然なのだけどまあそれなりに楽しくやれるな、などと思ってしまったのだ、不覚にも。
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