幕間
閑話1 宮城 勇一郎
「あー、最近なんかイライラすんなぁ」
なんでもあれが行方不明になったらしい。家はもちろん、あれが行っていたバイト先にも来ないという。てか、バイトしていたのか。
俺は何とも言えないこのイライラから、足を上下に動かし、貧乏ゆすりを始める。
(なんかおもしれ―こと起こんねーかなぁ)
窓の外を見る。窓の外には雲一つない空で、太陽が輝いている。今日は金曜日。明日は休みだ。あいつらと遊びに行くか。
あ・・・・・・
(あー、暇だなー)
窓際の席でもないのになんだか眠くなってきた。今日は帰ったら寝てしまおうか。
「おい宮城、寝るなよ~」
「起きてますよー」
「お前ら、そんなに俺の授業がつまらないのか?」
担任の言葉に、クラスメイトは少し笑う。苦笑いが大半だが。
そういえば
「・・・・・・うっわー、それだったら人生終わるぞ」
ふとよぎる不安。だが、見つかってもいないのに心配するのはバカバカしいか。
俺はまた温かい太陽の日差しを浴びながらうとうととする。眠い、寝てしまおうか。
・・・
――夢の中
俺は黒い何かと対峙している。
手に持つ剣はじっとりと汗に濡れ、周囲はピリピリとした緊張感に包まれている。
「貴様ぁ! よくも多くの人たちを殺したなぁ!!」
俺は黒い何かに向かって叫ぶ。黒い何かは俺の言葉に馬鹿にしたような、達観したような冷めた笑いで返す。
黒い何かは立ち上がり、何故か俺に哀愁の眼差しを向ける。
「差し違えてでも殺してやる!」
俺は手に持つ剣を構え、黒い何かに向かって走っていく。黒い何かは何をするでもなくただ佇んでいる。
「うおぉぉぉ!」
夢はそこで終わった。
・・・
「おい、寝るなっつったろーが」
担任が俺の目の前に立ち、溜息をつく。いつの間にか眠ってしまったようだ。
「あ、すみません」
担任は教壇に戻り、授業を再開した。
俺は先ほどの夢に思いを馳せる。ガキっぽいというのは分かるが、俺もああいう世界に生きれたら・・・・・・などど思ってしまう。
しかし、随分とリアルな夢だった。その証拠とでもいうように俺の手のひらはじっとりと汗をかいている。
俺は自傷気味に笑いながら、また窓の外に顔を向ける。
いい天気だ。あとはこのイライラを
また眠くなるが、必死に堪える。次眠っちまったらなにされるかわからん。
俺は重たい瞼を必死に持ち上げ、授業を聞いた。
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