第6話「あー、もう」

「すみません、洗濯機あったから服洗ってて」

 ミカが慌ててそう言った。

 それはいいけど体隠しなさい。

 君達は十五歳と十三歳だろが。


 しかしユカはイメージ通りのつるぺた、ミカは若干膨らんどるな……って見たらいかん。


 僕は目を逸らしながら聞いた。

「あの、着替えは持ってないの?」

「ないです。魔法の袋も持って来なかったし」

 魔法の袋とは小説内にあるアイテムで、簡単に言うと簡易版四次元ポケットみたいなものである。


「そもそも長旅のつもりじゃなかったし」

 ユカが俯きながら言った。


「あーもう!」

 僕は自分の部屋に行ってタンスを開いた。

 何か着るものないかと思ったが、あいにくどれも155cmと153cmで体の細い彼女達には大きすぎる。

 僕は175cmの標準体型だし。

 しかたないのでまだおろしてない大きめのTシャツを2枚渡した。


「とりあえずこれ着ててよ」

「あ、はい」

 二人はそれを着た。うん、なんとか下も隠れた。

 しかしこの光景をユカの師匠のモデルにしたあの人が見たら

「隆生、俺と代われ」って言いそうだな。


 それから二人に買ってきた弁当を渡した。

 彼女達は行儀よく座って弁当を食べ始めた。

「足りなかったら何か作るからね」

 そう言ったがこれで充分です、と二人は言った。

「そう? 遠慮しなくていいよ?」

「普段ならもっと食べれるんですが、魔法力がなくなったせいかそんなに食べたいと思えないんです」

 ユカは首を傾げながら言う。


 そういうものなのか?

 そうならこっちは助かるな。正直ユカが小説の設定通りサ◯ヤ人並の食欲ならうちは破産だったな。


 彼女達が食べている間に僕は普段使わない方、彼女達が最初に現れた部屋の中を片付けた。

 そしてそこに使ってなかった折りたたみ式のベッドを出して、敷布団とシーツと毛布と掛け布団を敷いた。

「ベッド一つしかないな、どうしようか?」

「あ、わたし達二人一緒に寝ますから。って隆生さんは?」

 後ろにミカがいた。

「ああ、僕はこっちの部屋で布団敷いて寝るから」

「そうですか。すみませんお手数おかけして」

「いいって。じゃあ、僕先に寝るからね。おやすみ」


 今日は疲れた。僕は布団に入ってすぐ眠りについた。

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