第5話「それはいいんだけどね」

「……いいよ」

 少し間をおいてから僕は了承した。


「あ、ありがとうございます」

「よかった。断られたらどうしようかと思った」

 ミカとユカは安堵しているようだ。


 だって放り出すわけにはいかんだろ。

 仮に警察に保護されたとしてもどうなるのかわからんし、万が一変態にでも攫われたら。


「まあ、そのうち帰れるようになるんじゃないかな?」

「そうだといいのですが……」

 ミカが項垂れながら言う。


「それよりお腹空いてない? ごはん食べる?」

「え、でも」

 顔を上げたミカは申し訳無さそうにしていた。


「遠慮しなくてもいいよ。どう?」

「……じゃあ遠慮無く」

 ユカがお腹に手をやりながら言った。


「うん、じゃあちょっと待っててね、今何か買って来るから。あ、部屋の物どれでも自由に使っていいからね」


 二人にそう言って、僕は外へ出て24時間空いてる激安スーパーへと向かった。

 今うちにはお菓子と米と夜食用のインスタントラーメンしかない。

 さすがにこれだけじゃアカンやろ。




 スーパーに着いてからふと思った。

「そういやユカは何でも大量に食うって設定だったな……現実でもそうなのか?」

 とりあえず弁当二人分と、足りない事を考えて野菜やら肉やら魚やらパンやらと。米はまだあるが一応5キロ買っとこう。




 そして両手に大きな袋を持って家に帰った。

「ただいま、え」

「あ」


 このマンションの間取りは部屋が二つと、玄関開けたら六畳分の広さのリビング風のスペースがあり、その中に台所とトイレと風呂場兼洗面所がある。

 彼女達はそこに置いてある大型テレビを見ながら寝そべっていた。

 いや、別にそれだけならいいんだが。


「すみません、ちょっとお風呂借りました」

 うん、いいよ。自由に使っていいって言ったもん。


「お姉様、これ見てたのまずかったんじゃ?」

 だからそれも気にしなくていいよ。


 僕が言いたいのはね……。


「てめえらすっぽんぽんで寛いでんじゃねえーーーー!」

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