大臣の祖父をもつ貴族の娘ルイーズ(ルイ)は、愛人の許に入り浸る父と強権的な祖父に嫌気がさして、家を出た。魔法学校時代の友人クローディル(ディル)を捜す目的で。ディルは下級貴族の跡取り息子だが、父が反逆者の冤罪を着せられ、一家離散となっていたのだ。色街でディルと再会したルイは、彼の営む薬草店の近くで隠れて生活することに。
祖父の追っ手の目をごまかすため、男装し、髪を染めていた彼女は、ある日、通りすがりの男を庇う羽目に。やけになれなれしいその男キリムは、伝説の魔法の剣『夜明けの星』を持っていた。
ルイとディルとキリムと剣の化身ヴィー、四人のどたばたラブコメディー。
強い魔力をもちながら、祖父の意向に支配されるルイの家族。それに抗って生きて行こうとする「箱入り娘」ルイの心意気に共感を覚えます。コメディーですが、ルイにディル、二人の周囲で暮らす娼婦たちなど、女性の立場の弱い社会を、象徴的に表していると感じます。男装と女装を繰り返すルイ、呪いに縛られたヴィーもまた、男女が入れ替わります。ルイをめぐる恋模様の行方は――。
逆ハーレムのラヴコメディ、性転換などがお好みの方にお薦めします。