第3話

そしてまた夜が来た。


また時猫が動き出す。


「今日のターゲットは誰にしようか。」


机の二重底から取り出した、とあるブラック企業から報酬としてもらったスマホをスクロールする。


次々とターゲットの顔写真と名前が流れていく。これをタッチするとパーソナルデータ…個人情報が出てくる。


時猫はしばらくスマホをスクロールしたのち、あるところで手を止める。



【権田 竜太】

ごんだゆうた


11月28日15時27分生まれ。の36歳。


実流木 花奈(みるきはな)と結婚し、3歳の権田修太(ごんだしゅうた)を子供に持っている。


宝物は子供。


24歳で伊馬出建設(いまだけんせつ)の幹部に気に入られ、スピード出世。


今は伊馬出建設の幹部。





(…こいつだ)


唇をぺろっと舐めて、乾いた唇を潤す。


悪にパイプがある情報屋にヘリウムで声を変え、非通知電話をかける。


「時猫だ。権田竜太の居場所はわかるか?」


「へいへい時猫さんですかい。前振り込んでもらったお金でいいんですかい?」


「ああ。それで頼む」


お金もブラック企業からの報酬の一部を振り込んでもらっている。


余った資金ではナイフなどの武器やヘリウムを取り寄せているのだ。


「えーっと権田の居場所はやすね…」


「ほう、ありがとう。」


「100万でございやす。いつもの口座から引き出しておきやすね。」


「ああ。よろしく頼む」


向こうか。ここから何分くらいだ…?


35分あれば十分か。



現在午後12時ぴったり。



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