アシモフ小説とともに青春時代を過ごした人間として、見逃せないエッセイを見つけてしまいました。
ロボット三原則を利用した新しい物語が読みたい、という作者様の意見には大いに同意するところ。
アシモフ先生は、この三原則を用いてさまざまな物語を描き出しましたが、この三原則には、まだまだ新たな物語を生み出す余地があることは、このエッセイの『ロボット工学三原則:総論』に触れられているとおり。
個人的な意見を述べさせていただきますと、やはり、SFというジャンルを執筆するハードルは高いように思えます。しかし、SF以外のジャンルにおいても、三原則を用いた物語は書けるのではないかとも思うのです。
ただ、手元にある『ロボットの時代』(1984・早川書房)巻末の水鏡子氏による解説文でも触れられていますが、ロボットでなくても、たとえば「奴隷」「公務員」などの場合でも、おおむね三原則に縛られた行動をとりうるでしょう。
これは、三原則を使ったSF以外のジャンルの物語を創造するうえで、重要な示唆となるように思えます。
最後に身も蓋もないことを言ってしまいますが――三原則を用いた物語を書くうえで、一番の障害となるのは、やはり偉大すぎる原典の存在でしょうねぇ。なにもかにも、アシモフ先生の話が面白すぎるのが悪い。