第4話

ワの国を平定し王都へ戻ったのも束の間、聖戦士マリオンは神王軍本部に呼び出された。

「ワの国の平定ご苦労であった。戦の疲れも癒えぬ所すまぬが、そなたにやって欲しい仕事がある。」

「構いません。神王教の繁栄という神命の前には、蛮族との闘いなど疲れのうちに入りませぬ。」

たぐいまれなる信仰心を持つマリオンにとって、異教徒との戦いくさは神への奉仕そのものである。神への奉仕という至上の喜びのなかで疲労など感じるはずもあるまい。


「それは頼もしい。実は拠点リフテンに向け、山の国の軍が進軍しているとの情報が入った。」

リフテンは山の国にとって神王国制圧のため避けて通れぬ攻撃目標であると同時に、神王国が誇る難攻不落の重要拠点である。


「愚かな。神王軍精鋭が集まるリフテン攻略など彼らに出来るはずもない。」

「その通りだ。しかしわざわざリフテンを攻撃するのだ、向こうも何か用意があるのだろう。万全を期すためぜひ聖戦士である貴殿にリフテン防衛をお願いしたい。」

どのような策があるのか知らぬが、リフテン攻略など思い上がりも甚だしい。異教徒どもの蛮行を許すわけにはいかぬ。


「かしこまりました。天使の力を異教徒に見せつけ、思いあがった異教徒どもに身の程を弁えさせてご覧にいれましょう。」

聖戦士に安息は必要ない。マリオンの心はより一層神の信仰で燃え上がり、リフテンに向けて正義の歩みを進めるのだった。

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