第4話 君とともに森を抜ける
ジュドとハンスは、そのまま森で一夜を明かしました。
ジュドが森で狩ったウサギを焼いて食べ、大きな木にもたれて眠ります。
しかし、ジュドはハンスが食事を済ませる間、どこかへ行ってしまい、ハンスが食べ終わるころに戻ってきました。
「ジュドは何か食べないの?」
と聞けば、
「お前が寝た後に食べるから大丈夫だ。」
と答えるのです。
その場はハンスも納得して眠りにつくことにしました。
「死神が迎えに来ただと。」
森を抜けるまでは歩いて3日ほどかかります。
翌朝の昼、ハンスは父の死に際をジュドに語りました。
「うん。黒い外套を着た、とても立派なご老人だったよ。」
「そんな話は聞いたことがないぞ。
よっぽどのことがない限り、死神の迎えを目にすることなどできるわけがない。」
「そうなの?」
葬式に出たことはあっても、人の死を見届けたのは父が初めてだったため、ハンスはそれが自然であると考えていました。
では、なぜハンスは父トーマスの迎えを目の当たりにできたのでしょうか。
きっと自分が必死に神様にお祈りしたからだ。とハンスは一人納得することにしました。
「まあいい、もう過ぎたことだしな。
そんなこともあるんだろう。
この森を抜ければ東の都市につくぞ。」
「東の都市かぁ、どんなところだろう。」
「今ならちょうど春祭りの最中だろう。」
そんな会話をしながら、彼らは森を進んでいきました。
「ねえ、ジュド。」
「なんだ、ハンス。」
「僕らが森で出会ったとき、季節は春だったよね。」
「ああ、春の始まりだったな。」
3日目、ハンスとジュドは森を抜け、東の都市へとたどり着きました。
ですがそこは、轟々と鳴く吹雪の真っただ中でした。
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