第10話
学校に着くと、部室に顔を出す。
「おはよぉ」
すぐに先に来ている仲間が声をかけてくれた。
「おはよ」
萌はずっと悩んだままだったから、いつもより小さな声で呟くように声を出す。
「どうしたの?」
「え?」
いつもと違う様子を察してくれた松岡美馬が心配そうに聞いて来た。
「何かあったの?」
「いや、別に…………」
「ならいいけど」
「うん。有難う」
「ねぇ、昨日のBB-Boys観た?」
すぐにテレビ番組の話になる。
ここには上辺で聞いてきても、本気で心配してくれる子なんていないのだ。
萌はそう思っていた。
だからといってそれを咎めるつもりはない。
自分だって結局そうだから……。
本気で心を許せる相手は、萌には一人もいなかった。
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