第8話
「おはよう萌ちゃん。朝ご飯食べる?」
リビングには新しい母親がいて、笑顔で聞いてくる。
おそらく悪意はないのだろうけど、萌にはそれが作り笑いにしか思えなかった。
「あっ、自分でやるからいいです」
平日ならともかく、夏休みでみんなとずれた時間に、わざわざ自分の為だけに作って貰うのも申し訳ないので、萌は自分でトーストを焼くことにしたのだ。
「今日は部活、何時からだっけ?」
不愛想にしてるんだから話しかけて来なければいいのに、新しいお母さんはいつも何かにつけて話しかけて来る。
本当はすごく良い人なんだろうけど、どうしても素直になれないのだ。
「10時です」
「ああ、そう。じゃあお昼には帰って来れないわね」
「そうですね」
「この時期だから、お弁当を作っても腐っちゃったらダメだから、じゃあこれでお昼を食べてね」
新しいお母さんはそう言って財布から千円札を取り出すと、テーブルの上に置く。
「すみません」
萌は謝った。
夏休み中に毎日お金を貰ったら、すごい金額になってしまう。
出来るだけ迷惑をかけたくないから、萌は夏休みの間じゅう部活を休もうかと本気で思った。
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