短編「机上論」


きっと、僕の職業から説明せねばならない。いささか信じ難いものではあるが、信じることができないならば、それでいい。

僕は死んだ神様を量産している。人が人形を編むように、僕は肉片を一つの人形としている。

肉人形に魂を吹き込む、簡単な職業だ。

この世に右があるように、左が無ければならない。右が無ければ左も当然ある訳がない。

すなわち、天然の神様が居るならば、人口の神様が居たって問題がない。

そう、行き着いた訳だがこの仕事に就いてることに深い理由はない。

給料が良い訳でもないし、倍率の高い狭き門でもない。正直、気まぐれだ。

人口神様と生る肉が、ベルトコンベヤーで流れて来るだけ。

それを、ゴム手袋をはめた手で、組み立てる。その後に注射器で魂を吹き込む。

たちまち、歪な動きを見せ、すぐに転ぶ。観賞用としても良く、食料としても良い。けれども、味は保証できないし、七代にわたって祟られるかもしれない。

命あるもの栄養を接種しなければならない。けれども、人口神様は栄養を得る器官を持っていない。だから、一週間でもすると、死んでしまう。

息絶えた肉人形は、火葬して骨灰を小さな木箱に詰める。それを、適当に売り飛ばせばそこそこのお金になる。

それを娯楽とする変わり者もいる訳だが、売る側はもっと、物好きだ。

まあ、全ては妄想なんだけどね。

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