短編「納骨」


神は死んだ。そう、偉人は言った。

神の死に様など興味が無いのだが、いざ死んでしまうと悲しいものである。

なんて冗談なのだが、結論から言ってしまえば神とはご縁が無かった。

母が死んでしなうと悲しむというのに、親族が死んでしまっても悲しくはならない。言い換えてしまうと、神が死んでもどうでもよかった。

神が何人死のうと、土を掘って待っている程度。納骨は我が家の庭にさせたい。そんな、わがままばかりが脳裏に浮かぶ。

そんな中、僕は神が死んだことを知った。

知った経由などは、触れないでほしい。なんとなく天界と更新できるとか、友達に神の手先がいるとか、想像に任せておきたい。

僕は雨上がり、湿った土の香りが漂う中、穴を掘り始めた。

一心不乱で掘り進める。顔に泥がついてもなお。理由は単純で、知らぬ存ぜぬの神様を納骨するためだ。

ある程度、穴が開くと、リビングへ戻り、正方形の木箱を持ち出す。中には、七代目、布団の神様が永眠している。以下にも胡散臭い話であるが、趣味の一環としては出来た娯楽だ。

木箱を穴にはめ、土を被せる。神様も微生物の餌となる。

食物連鎖とはそんなもんだ。僕は、そう考え空を仰いだ。






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