過去:幸運, 現在:意志, 未来:変化, 援助:寛容(逆), 敵対:清楚(逆), 目的:庇護

 鬼瓦くんは、瓶詰め蟻の巣こと"ありさん帝国"の民草だけが友達のナイスガイ。でもある日、自室で蟻のプロレタリア革命に遭って死んでしまったんだ。ところが、3年前のあの夏の日にたまたまTVで(たまたま寝癖が妖怪アンテナ的に民法を受信したの略)観た占いでラッキーアイテムとして登場した豚の頭骨をそれ以来かぶっていたのが功を成す。溜まったラッキーパワーのおかげで成仏しきらずに済んだんだ。なんか今の自分ゾンビっぽいぞ、みたいな残尿感を堪えていると鬼瓦くんの部屋のエアコンから、白装束に身を包んだお姉さん(深爪している右足の小指の爪がセクシー)がにゅるにゅる生えてきた。「はーいボンジュール道場!(最近の一発芸人っぽい決めポーズと共に) 私はあなたのゾンビー化進行を防ぐ為にやってきた退魔師よ!(さっきと同じポーズで) 今のあなたはとっても不安定! 今はどうにかその頭骨の持つラッキーパワーでゾンビー化を防いでいるけど、それもいつまで持つかわかりません! それを防ぐ手段はたった1つ!(またさっきと同じポーズ) これからあなたが糸偏の漢字を書く時には糸偏を草書体で書くの!」「うっかり糸偏を6画で書いてしまったら僕はどうなるの?」「1回忘れると、何を言うにつけても語尾に『ゾンビー』が付くようになり、2回忘れると体中から腐臭を発するようになるわ!(おなじみのポーズと共に) そうなったらもう止められない……その時点で私があなたを一気に成仏させるわ!」「どやって?」「凍ったマグロで思いっきり殴ってあなたの頭骨を割ります」「そうか……でも、糸偏くらいなら気をつけていればどうにかなるかな……」「そうです、糸偏に気をつけていればどうにかなります」かくして鬼瓦くんとお姉さんの同棲生活が始まったのだ。その2分後、また鬼瓦くんの部屋のエアコンから、喪章の付いたスクール水着を着た東南アジア系の風貌のお姉さんがにゅるにゅる生えてきた。いきなり鬼瓦くんにがなり立ててくる。「シャッチョサン、ポッキリ3千円ヨー!」「だれ?」「私ハー、さっきアナタと一緒ニありさん帝国のプロレタリア革命で斬首されタ女王蟻の生まれ変わりデース! 」「輪廻転生イェーイ!」「トコロガ、私はもう行くところガありまセーン! この景気の中、日本デ就職先ヲ探すためニ-、日本語ノ読み書き勉強したいデース!」「読み書きイェーイ!」「よってー、アナタニ私の勉強を手伝ってモライターイ! 具体的にはこの漢字練習帳! ところどころ忘れた頃合いにふと糸偏の漢字が出てくる漢字練習帳を一緒にヤリマショー! さもなくば私の乳房がうっかりまろび出マス」「糸偏イェーイ!」「そして就職が決まった暁ニハありさん帝国の再建デース! おそらくその頃ニハまた私ノ圧政が恋しくなってきてるはずデース!」「そんな……人間に転生しても民草のことを考えてるのか……」「かなり文字通り蜂房鵠卵を容れずというやつデース!」「つかさっきから日本語めちゃめちゃ上手いですよね! 僕がゾンビー化の危険を冒して漢字練習する意味ないですよね!」

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