第5話 春ウララ。花見だ生徒会!

 俺は以前、生徒会みんなで花見をしようと言っていたのを忘れていた。

 その事をみんなに伝えたのだが、生徒会メンバー全員も忘れていたと言うw。

 衝撃的な事もあったし忘れて仕方ないよな。と言うことで今日は檜山ひのきやま自然公園に花見に来ていた。

 この公園は昔はヒノキが沢山生えていた山だったらしい。今は平地で沢山のサクラの木がある花見名所だ。

 花見時期になると露店も出ていて花見客でにぎわっている。


 忘れていた俺が何か言い出しっぺ、みたいな感じになりラブラドールのポン太と

シートを広げて場所取りをしている。大体みんなで花見しようと言い出したのはニャンコ会長なんだよな。と神人は心の中で愚痴をこぼしている。


 その御本人が生徒会メンバーを連れて到着した。

「神ちゃ~ん。おまたせ!今日もポン太連れて来てるんだ」

「ポン太は俺の心の友だからな。どこへでも連れて行くさ」

 そんな俺の言葉に全員ヘーなど言っていたがあおいが変ことを言い出した。

「ねえ犬にもVCて使えるのかしら?試してみていい?」

「どうだろうな。それは考えたこともなかった」

 俺は人間しか無理だろうと思っていたけど、実験的にやるのもいいかもと葵に許可をだした。

『チョイス!』の言葉で葵は仮想空間へ突入!

 ポン太の頭上に選択肢が反映される。


1,ワオーン!さっきの黒ラブちゃん可愛かったぞ!

  おい神人!リード外してくれ。一発決めてくるぜ!

2,おっ、あそこにもイカス女!おっ、あのゴールデン尻がセクシーすぎるぜ!

  神人、飼い主も美人だ一緒に決めようぜ!

3,神人お前はココロの友じゃなくて下僕げぼくだけどな。

  まあ、そんな事はいいからリードはずしてくれ!


 VCをキャンセルしてリアルに戻った葵。

「・・・犬って飼い主に似るって言うけどポン太にどんな教育してんのよ!」

 顔は可愛いポン太。葵は顔と考えのギャップに怖くなった。

「教育もなにも、いつも一緒なだけだ。なんか見えたか?」

 葵はよほど凄いものが見えたらしい。ポン太もオスだし春だからメス犬でも見てたんだろうと思った。

「このVC犬の心が見えたわ。人間以外も使えそうだけどペットだと信頼関係なくしそうよ・・・」

「そうか?まあ俺もあとでポン太にVCやってみるか。それじゃ生徒会の花見はじめますか」


 全員はすでにシートの上に座りお待ちかねだ。女性陣がジュースをコップに注ぎ、皆それぞれコップを片手に持つ。

 生徒会一同「かんぱーい!」


 ミカンが美味しそうな弁当を見ながら神人に聞いてくる。

神人かみと先輩。このお弁当お母さんの手作りですか?」

「ああ、花見の事いったら朝早くから作ってくれたよ。みんな遠慮無く食べてくれ。って言う前からニャンコは食べてるなw」


 会長は凄い勢いで弁当を食べている。そして頬張りながら感想を言ってくる。

「神ひゃん。おいひいよ!お母ひゃん料理上手だね」

「いや~弁当助かるぜ。うちは花見って言ったけどコンビニ弁当買えばって言われたしな」

 バケツは何も持ってきていない。神人の弁当を期待してたみたいだ。


「私はサンドイッチ作ってきました。たくさんあるので皆さんも食べてくださいね」

 巫女はそう言うとバスケットからサンドイッチを取り出し並べた。 

「私はジュースたくさん買ってきた。弁当は神人のもらうよ~」

 ワンコは意外と気が利いている。人数分は買ってあるようだ。


 ポン太「俺にも飯くれよ!」

 ポン太はさっきから俺達の食事を見てウォンと吠えている。

「腹が減ってるのか?しょうがないなウインナーでもやるか」

 神人は弁当から一本だけウインナーを取り出して与えた。

 ポン太「俺のウインナーよりデカイのくれよ!まあ我慢してやるかガブガブ」


「場所が良いからサクラが綺麗だよ~。先輩さまさまだよ」

 ミカンは満開のサクラを見上げながらご満悦。

「神ちゃん場所とりうまいよね。来年も頼もうかな」

 会長のその言葉に全員賛成している。


 まあニャンコに任せるよりはいいか。それにしてもポン太が袖を《そで》引っ張って困るな~。なにか食いたいのか?

 そうだVCで見てみるか。俺は小声でポン太を見ながらチョイスと言ってみた。

 ポン太の頭上に選択肢がでる。

【ポン太の内容】

1,ウインナーくれたら、さっき見えた葵のパンツの色教えるけど。

  神人それで手を打たないか?

2,神人~女の子の数だけウインナーくれたら、全員のパンツの色見てきて教えて  やるけど、どうだ?


「・・・ポン太くんマジっすか?」

 神人が小声でポン太に話しかけると。ポン太はワンと応えた!

 これはヤバイ!ヤバ過ぎる!どうせなら一人より全員だよな・・・。けどホントかな?こいつ俺の言うこと理解してるのか怪しいけど。まあウインナー4~5本やってみるか。

 そう思った神人はポン太にウインナーを与えるとリードを外してやる。


 ポン太はウインナーを食い終えるとノソノソとあおいの方へ歩く。

「あらポン太、何か欲しいの?ヤダ、ちょっとそこには何もないわよ」

 ポン太は葵のスカートの中に顔を入れている。

 コイツ本物だ!ポン太様、次もお願いします!

 すると今度はミカンと巫女の方へ。

「ポン太、パンツはだめだよ~。くすぐったいよ~」

「可愛いですね~。あらヤダこの子ったら匂い嗅いだらダメですよ」


 ポン太!うらやましいぞ!俺も犬に生まれたかったぞ!ポン太はスカートの中に顔を入れていく。


 ワンコと会長に行くポン太。

「やだ~ポン太エッチすぎっしょ。そこめないで!」

「わーい。ポン太!こっちおいで~」

 ポン太:ブエックシュ!この嬢ちゃん少しにおうぞ!

     これで神人があのVCとかいってるやつで俺を見れば任務完了なのか

 ポン太はいつも一緒にいてVCを理解していた。


 俺の側にポン太が戻ってきてワンとえる。これは皆に気づかれないようにしなければ!トイレに行ってくると言って皆から離れた。公衆トイレ近くでポン太に話しかける。

「ポン太さあ、教えるんだ!」『チョイス!』神人は仮想空間へ突入。


【ポン太の内容】

1、せっかちなやつだな~。葵は青の水玉のパンツで良い匂いしてたな。

  ミカンは赤の縞パンだ。これバレたら大変だよな。高級缶詰で手を打つぞ

2,巫女てのは顔に似合わず赤い派手なレースのパンツだったぞ。

  ワンコは黒いスケスケでさかりが付いたメス犬のような匂いがしたぞ。

  これバレたら人生終わるよな。今度からポン太様と言えよ

3,あの会長とかいう嬢ちゃん。あれはションベンくさい!

  クマちゃんパンツだぞ。黙っててやるからモット食べさせろよ


「ポン太様ーーー!すぐに戻って食べさせますーーー!」

 パンツの色は嬉しいが、どの選択も怖いので俺は急いでみんなの元へ帰ってご飯をあげた。コイツ超こえー!葵はこんなの初めに見たのか!

 確かに信頼関係が壊れるぞ!だが良い使い道ではあるな。頻繁ひんぱんにやるとバレそうだから、しばらくは使わないでおこう。

 それにしてもポン太がVCを理解してたのには驚いたな。長く一緒にいるから理解し合えることもあるんだな。

 エッチな事以外でもポン太の使い道が出てくるかもしれないと神人は思った。

「なあ神人。俺もポン太にVCしてみていいか?」

「なんでだ?おい、バケツちょっとこい」


 俺は女性陣から離れた場所にポン太とバケツを連れて来て理由をたずねた。

「いやよ~さっきポン太が女子のスカートの中見てただろ。VCで情報が見えるんじゃないかと思ってな」

「お前も気づいてたのか!パンツの色教えてやるから誰にも言うなよ。それとポン太の事はポン太様と言うんだぞ」

 俺はバケツに一部始終をすべて話した。

「ウヒョー巫女ちゃんて真面目そうで派手なパンツしてんのな!神人これはナイスだよ。けどバレたら俺たちヤバイよな・・・。ポン太様は了解だ」

 俺はバケツの了解を得て女性陣たちのところへ戻った。


 神人の行動を不審に思う葵が話しかけてくる。

「アンタ達さっきから何コソコソしてんのよ?」

「男同士の大事な話だ。なあバケツそうだよな」

「ちょっとな。女子には関係無い話だよ」

「そういえばポン太やけに女子のスカートの中に顔いれてたよね」

 ワンコの言葉にギクリとする神人とバケツ。

「そう言えばそうだよ~。不思議だよ~」

 ミカンまで怪しみ出した。神人はごまかそうとする。

「ポン太様は食べ物を探してただけじゃないか。気のせいだ」

「神ちゃんポン太様てなんなの?」

 会長は日頃は言わない神人の言葉に質問する。

「ポン太は犬神様になられたのじゃ!ポン太様お散歩行きましょ!」

 神人はそう言ってポン太を連れて脱出。バケツもヤバイとついて来た。


「なんか二人共、怪しいわよね~。ポン太てVCで見たら人間と同じように見たものとか選択肢に出てたのよね・・・」

 葵は経験したことを皆に伝える。それに巫女が確認をとる。

「ソレってポン太が目にした事も出るってことですか?」

 ワンコはピンときたみたいだ。

「てことは私達のパンツ・・・」

「見られた!」

 と同時に叫ぶ女子達。バレてることを知らずに散歩から帰った俺とバケツは白い目で見られて尊厳そんげんを失った。

 ポン太「バレたら俺の缶詰ないじゃん!トホホ・・・」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る