第11話 テンプレ小説批判の批判

 書く事を通じて創作への理解が深くなった話がそれなりに出来たと思います。そこからまた発展して私はあらたな知見を得ました。放棄している読む側の気持を考えた作品ってのが全くやってないわけじゃ無いです。いろいろやってみて最後に得たのは過去に自分が面白かった作品の物真似だったんですよ。それもそんなには受けなかったですが、他の自己満足の物語よりは反応がマシでした。やっとマイナスのスタートラインに立てたと言う事です。それまでの作品はどう評価して良いかそもそも分からないから興味が無い。良い悪いさえいうことが出来ないものでした。同じつまらないでも話しにならないレベルってのがあるのを知りました。簡単に言えば日本語で冗談を言えば面白いか?つまらないか?分かりますが、良く分からない外国だとそもそも何言ってるか分からないとなります。接点がそもそも無かった。正直な人はとにかくつまらんとはっきり言ってくれますが、気を使ってくれる人はこれなんだ?と言う反応になります。どう接してよいか分からない。正直な人も実はそうなんですよ。そういう態度になってしまうものはつまらないでまとめてよいとしてくれてるだけです。厳密にはつまらないとはっきり分かる作品より多分その人にとって酷いと思います。どう楽しめば良いのか分からない。


 テンプレって批判は多いです。しかしいざ読者の要求にこたえようと思うと自然に過去の踏襲や今の流行の真似になってしまいます。結局読者受けする作品ってのはその中でオリジナリティを創っていくしかないと思います。ここで作品作りで挫折してなくて初めて創る人は作品のオリジナリティを良く勘違いします。読者が面白いと感じる事を無視して創ればかなり奇抜な作品出来ると思います。奇抜なのに引っかかる部分が無いからすごく目立たない作品になります。これが変なものなんですよ。個性や奇抜さがあるのに、それが刺激にならないんですよね。水は高いところから低いところに流れる。ある程度作品作りが見えてきた人ならテンプレってのはそれなりに意味があるものだと分かると思います。読者にどうやって受けるか?考えた場合既存の読者が面白いとした作品のまねこそが一番の早道だと分かります。


 ただそれで終ってしまったら既存によくある小説論です。私はここにラノベ(漫画物語)の様なリアリズムが緩いタイプの物語はテンプレに行く傾向がより高まると見ています。創るための方法論を細部まで因果論にして整理しにくいと思っています。テンプレ作品の特徴は細部の組み立てよりも大筋のフォーマットにあわせた大雑把なパーツの寄せ集めのような作品が目立つと思います。ライト層が好むタイプの作品はあまり頭を使いません。特殊な訓練も必要としません。21世紀のオタクと呼ばれるタイプは20世紀のマニア的オタクと違います。個人の偏った好みのままに中毒的に似たような作品を消費してきた結果頭の作品データベースが一般人と違ってしまっただけです。基本大衆的な作品の楽しみ方をします。良く21世紀のオタク層をライトオタクと呼ぶオタク評論家などが居ます。上手い言葉だと思います。こういったライト層への作品はあんまり多種多様のパターンを作りだせません。基本的にそういった小説の中身は読者が考える事によって深化した思考によって発展していきます。そこがとめられてしまいます。後は思考じゃなくても感性を磨くような事もマニアにはあると思います。これも無いです。ライトオタク層が磨かれるのは消費と飽きるを繰り返した結果論による作品への好みです。私はそれを永遠に成長しない趣味層と読んでいます。作り手と受け手が進化で言う共進化の様に影響しあって創作は変化していきます。受け手が意識的に眼力を鍛えるって事を全くしません。結果論的に飽きる事で次の刺激を要求するだけです。この要求に作り手は対応していかなければなりません。こういう受け手と作り手の関係はテンプレと言う形で表面化しやすいです。


 複雑な変化をしたくても過度に思考を要求する作品は受け入れられません。だからあまり思考しない受けた刺激を節操なく取り入れてコピーし増殖していきます。そもそも横の好みが狭い層に対して、縦の思考の深さによって発展する通常の創作の発展形を奪われた形で進化していきます。これがテンプレの増殖と言う表面化じゃないか?と見ています。


 私はライト層が悪いとか良いとはそういう話をしたいわけじゃないです。根本的に読者の受けを考えた場合にどんな創作でも持つ問題でラノベに限ったものじゃないです。ただそれが過度になるのは受け手であるライト層の楽しみ方が原因だと見ています。


 ただ私は単純にそれを肯定するわけじゃ無いです。いつかは飽きます。それを過去何度も漫画アニメの模造の飽和によって見てきてるからです。カクヨムがそれを打開するようなサイトになるのでは?と期待していました。今はその前段階にすら行ってないと見ています…。これからどうなるのか?まださっぱり分からないですけどね。私はテンプレってのを好意的に見ています。ただ他サイトのテンプレがネット民の総意の結果であるとはさすがに思いません。総意の結果ならカクヨムが新しく開いても同じ歴史の繰り返しに過ぎないと思います。


 私が常にネットの好き勝手なライト向けへの作品への悪口に思うのは、結果だけ見ると無能にしか見えない作家と同じ立場に立たされた自分はもっと無能であることを知ると言う事です。これはシンプルに結果から他者を無能に思うように人間は本能的になってしまうんだと見ています。私の人間観察から大体人は悪い結果を見て単純に無能と言うレッテルを貼りがちです。他者を無能に見たがるきっかけを常に求めていると感じています。そういった本能に流されてしまう人が多いなと思っています。実際本能なのか?は知りません。感情がむき出しになるとこの性質が出やすいからです。

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