11話

 その夜だった、クルンとチャムの二人は肩を抱き寄せ合って寝ていた所に、小屋の直ぐ近く、


ドーン!


 地響きがした。クララは何事かと跳ね起きたら、チャムは先に起きて外の様子を伺っていた。


「どうしたの?」


「夜襲だよ!寝込みを襲うとは汚ねえ」


「逃げなきゃ」


「こっち!」


 二人は小屋を出て、目の前で闇夜に飛び交う閃光弾を横目に裏側に回る。


「ギャアー!」


 村のそこかしこ、闇の中銃弾の餌食になっていく村人の叫びが聞こえる。


「姉ちゃんこっち!」


 狼狽える彼女の手を率いて、まるで見えるかの様にチャムは巧みに闇夜を潜り抜けて行った。


「こっちなら、奴等が地雷で足止め食らってる間に逃げれる」


 クララは独りでは何一つ出来ず、ただチャムの指示されるがまま逃げたその直ぐ後ろで、


バリバリバリーン!


 細かい連続した稲妻の様な炸裂光が走った直後から、村の反対で業火が上がる、後ろから焼けんばかりの熱風が襲う。


「ナパームだ!伏せて」


 無我夢中で伏せた、


「熱い——」


 当に地獄の業火、背中が焼けそうだ、


「ウゲー」


 村の方から悲痛な呻き声が響く、風が止んで直ぐにチャムが叫ぶ。


「今だ、こっち」


 逃げるあちこちで起こる爆音と炎に、二人はジリジリいたぶられる様に追い立てられた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る