4話

 マーヤは少し喉が渇いて、鞄から水筒を出してお茶を飲んだ、


「はぁー美味しい」


そう洩らして、また違和感に気づく。


「何か、変」


 そう、水筒を出す前と何かが違う。


 今度は何がと、ゆっくり回りを見回しても、一見照明の明るさや、物の配置も、周りの音も変わり無い。でも彼女は些細だけど有り得ない変化に気づいた、


「スウェーデンじゃない」


 地球儀だ、彼女が感じた違和感は地球儀が回っている事だった。アジアが正面を向いていたのを、回して彼女がスウェーデンに変えた、それがまたアジアに戻っている。


「何でかな?」


 姉が回せる筈がない。誰が回したにしろ同じを向けるのは何か意味が在るように感じた。


 当時の妹は幼かったし、北欧は今でも妖精の存在を肯定する風土なので、彼女も当たり前の様に、


「妖精さん、何が言いたいの?」


と妖精のイタズラだと疑わなかったけれど、


「気まぐれかな」


 その時はただその程度にしか思わなかった。



 三度目クルンがやって来た時、クララはベッドで休んでいました。


 クルンは自由の身ですが、クララはやっぱり動けないでいると、今度クルンはクララに身体を貸してくれると言うのです。


「そんな事が出来るの?」


「出来るような気がするの」


 それなら是非試したいとクララは、申し出ます。


「クルンに成るって素敵だ!」


「本当?じゃやってみよ!」


 でも方法が分からないです、二人は困りますがやがてクルンが言い出します、


「二人がくっついたらいいんじゃない?」


「ハグするんだ!素敵」


「ハグっていうの?」


「うん抱擁の事よ、お互いこうして手をまわして、顔を寄せ会うの」


 見よう見まねでクルンが寝ているクララに摺り寄って手を回します、


「こ、こう?」


「そうそう、いいよ」


 二人はベッドの上でハグしました。


「温かいお母さんみたい、あっ」


 クララはフワッと何かに包まれる感覚に捕われ、吸い込まれるようにクルンと一体になるような錯覚を覚えました。


 突然めまいがして、クララの意識はとんでしまいました。

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