2話

 在る時クララは夢を見ました、とても不思議な夢と記憶している忘れられない夢。


 彼女が鏡の前に立ち新しい服を着て、鏡の前でその姿に見とれていると、


「羨ましい」


声が聞こえます。


「誰?」


気のせいでしょうか?


 再び鏡の自分に目を戻すと、自分とは別の女の子の姿がフワッと浮かび上がったのです。


「あなたは誰?」


「あたしクルン」


「私はクララよ、クルンは何処に居るの?」


「ベトナム、あなたは?」


「ここはスウェーデン」


「知らない。何処に在るのかも」


 クララは自慢の地球儀を持ってきて、


「あなたはここ、私はここに居るの」


「そんなに遠いんだ、じゃあ会えないね」


「会ってるじゃない」


「あそっか、ははは」


 二人はそんな他愛ないやり取りでしたが、打ち解ける事ができました。


クララは、海と花が好きだと言いました、


クルンは、海は見たことが無いがお花は大好きと応えました。


 共通のお花の話で盛り上がった後、海の話になります。


 海を知らないクルンは、自分がかつて見たことも無い海をクララは大好きだと言います。


 彼女は海に物凄く興味を持ちました、


「海も、花のように綺麗なの?」


「綺麗というよりよりは、ずーっと広くて大っきいの」


 クララはまた地球儀を見せて、青い所を指して、


「ここが大平洋、ほらクルンの国の東はみーんな海なんだよ」


「私の村より大きいの?」


「何倍も何十倍も大きいの、陸地全部の2倍も在るんだから」


「でも、広いなら何故村から見えないの?」


「きっと山が隠して見えないんだよ」


「村からは遠いけど見てみたいな、海」


「よし、今度連れてってあげる」


「ホント嬉しい。でも少し疲れて来たみたい」


「まあ、大丈夫?」


「段々力が抜けてく感じ」


「また会えるよね、今日は休んだら?」


「ありがとう、またね」


「バイバイ、またね」


 クルンは部屋を出ていきました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る