古い近況ノートの記事の中で「STAP騒動にヒントを得た作品を二編投稿しました」というのを見つけて、この作品を読み始めました。
あの事件に関しては私も思うところあって、自分の小説の中で科学者と非科学者の会話という形で、その「思うところ」を書いているくらいなので、その意味でも関心がありました。
女性の冤罪事件という観点からは面白い作品だと感じました。
ただし現実にあった事件を元ネタにした作品(あからさまな固有名詞など、誰が読んでもその事件との類似性を思い浮かべてしまうであろう作品)にしては、少し『科学者』の扱いが非現実的に思えてしまいました。ちょうど「『学会を追放された』という科学者が出てくる作品」を読んだ時のような違和感です。その点、惜しいと思いました。
作者からの返信
こちらにもご感想どうもありがとうございます。
私もゴシップ的な興味から元の事件について知りまして、もともと科学や科学者の環境について詳しく知っていたわけではありませんので、その辺りはどうしても甘いですね。
内面に深く切り込んだ意欲作品でした。
同事件(事件、といっていいものか)の真偽はわかりませんが、
”私刑”という言葉が浸透した今、あるべき姿について一石投じるアナザーストーリーでした。
私たちは通常、広漠な社会を狭隘な私生活から眺めています。
ところが、予期せぬことで垣根の内側に無責任な審判がどっと押し寄せ、
誰もが分かりやすい白か黒を判定して去っていく現象には考えさせられるものがありますね。
そうした報道の在り方について、犠牲者を生むたびに糾弾されますが、
報道とは、誰もが分かりやすい白か黒を手短に伝えることが本来なので、
日々彼らの仕事に頼りきって生きている我々も、考えるべきがあるのではと思います。
うまくまとめるつもりはないですが、だからこそ我々物書きがきちんと背景を掘り下げ、作品を通じた問題提起をする必要があるのかな、とも思いました。
ちょうど連載作品において、ある歴史を通じて”正義の証明”について取り上げたところでした。渦中に巻き込まれた人間の内側に迫る作品に出会え、大変興味深かく読ませていただきました。
作者からの返信
拙作へのご高覧及びコメント、レビューまでどうもありがとうございます。
随分前に書いた作品なので恐縮です。
例の騒動については当初からメディアの煽った面が否めませんね。
若い女性を見世物にする日本のマスコミの体質が産み出した事件だと思います。