第21話 小生とSF宇宙
ここは宇宙である。
宇宙とはSFであり、SFとは宇宙である。
つまり、宇宙にいる小生のドキュメンタリーはSFと言えよう。
これで名実共にSF作品となったのである。
「ですが、宇宙を描いた作品の全てがSFではありません」
冷静なツッコミを入れる、統括人工知能。
まったく人に冷水をぶっ掛けるのが仕事なのか、と言いたい。
と言ったらマジで冷水が降って来たのである。
宇宙で修行僧のごとく冷水を浴びる小生。
これはSFだろうか?
さて、冷水で冷静になったところで、人口知能が指摘したことを考えてみようではないか。『宇宙=SFなのか』問題である。
例えば宇宙を舞台にした『銀河英雄伝説』や『スカーレット・ウィザード』のような作品はSFである。『スター・ウォーズ』や『スタートレック』も間違いなくSF作品といえるだろう。
では、『アルマゲドン』はSFだろうか?
あまりSF的な世界観ではないが、科学的ツッコミどころが多いらしいので、空想科学という意味でのSF作品かもしれない。
それならば『アポロ13』はどうだろうか?
この作品は実際にあった『アポロ13号の爆発事故』を基にした映画作品なのだが、宇宙を題材にした作品と言うのは間違いない。
おそらく、ジャンルとしてはSFでないとは思うのだが、SF作品として紹介されていたりもするので、よく分からない作品なのである。SF検索で調べてみても、SF作品として扱われてたり、扱われてなかったりと、更に分からんのである。
もし『アポロ13』がSF作品ならば、それが過去の話(現実)を題材にしたとしても『宇宙』が関わっているならばSFであると言えるし、その反対にSF作品でないのならば『宇宙』が関わっていたとしても、それが過去の話を題材にしたのならばSFではないと言えるだろう。
前者ならば『宇宙作品』=『SF(の一部)』であり、後者ならばその式は崩壊するということだ。細かく言うと違うのだが、ざっくり言うとそうなる。
これは『SFとは何ぞや?』という原点に立ち返るような問いかけではないか?
この『アポロ13』という作品も厳密に言えば、現実とまったく同じ物語ではない。あくまでも作られた物語なのである。もしかすると、現実に手を加えた時点で、それはSF作品への第一歩となるのかもしれない。何となくそう思った。
『アポロ13』
この作品はSF界にとって、大きな分岐点にある作品なのかもしれない。
小生はまた新たな発見をしてしまったのである。
SFボーナスはおいくら万円ですか?
「つまり、結論は保留ですか? 時間の無駄でしたね」
うるさいわ、この人口無能――うげっ!
『残虐行為のため、人工知能権限により削除』
<GG>
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