第14話 小生と逃亡SF
小生、逃亡中。
いろいろ面倒になったので、SF警察の同僚であるハカセの元へと向かう。
「ハカセえもん、未来人が苛めるよー」
「えーい! いつも変な名前で呼ぶなと言っとるじゃろ」
見た目は幼女、中身はババア。その正体は人体改造が大好きなマッドサイエンティストなのである。彼女の生み出した怪人シリーズはちょー有名であった。
ちなみに小生とはヒーロー時代の宿敵なのだが、最終的には二人ともリストラされ、SF警察で偶然再会したのである。
長年の因縁があったものの、お互いに給料泥棒であることが発覚し、意気投合。
前回、逃亡に使用した『ステルス迷彩』も、ハカセがSF警察の備品を小生に横流しをしたものである。
「まったく、今度は何をやらかしたのじゃ。お主、全国裏指名手配犯になっとるぞ。くっくっく、やっと世間に本性がバレたかのぉ」
人の不幸を喜ぶ悪魔のようなハカセであるが、マッドサイエンティストなど元から悪魔みたいなものなので、納得。人体を引き換えにきちんと力をくれるだけ、悪魔よりましかもしれない。
しかし、裏指名手配犯とは失敬である。
せめて、ブラックリスト入りと言って欲しいものだ。
同じようなものだが、小生の気分が違うのである。
「それでこれからどうするのじゃ?」
ふむ、給料が振り込まれる限りは、ここにあるコタツで丸くなろうと思う次第なのである。これぞSF警察幹部特権ではなかろうか。
くっくっく、さすがの未来人もこの『異空間型閉鎖研究所』には入って来れまい。
どのぐらい入って来れないかと言うと、この場所を開発するために資金提供したSF警察ですら、ハカセの許可無しに入って来れないぐらいだ。
この研究所に出入りする生きてる人間は、小生とハカセの二人だけである。
実はSF警察からハカセを見つけ次第確保しろ、と言う命令が出ているのだが、今の小生にも、昔の小生にも、まったく関係ない話である。
しかし、未来人の連中が小生を名乗る人物を殺そうとするとは……これは悪名高き『我輩狩り』の再来かもしれぬ、と小生内心ビビる。
『我輩狩り』というのは、我輩と名乗る人物が全て猫にされるという事件のことである。犯人は猫変身銃を撃ちまくり、その被害は百我輩以上だったらしい。
この事件は戦後を代表するSF事件の一つとして数えられている。
他にも『耳巨大化事件』とか『怪奇首回転事件』などもあるが、こちらはSF警察ですらその方法が分からなかった未解決事件である。
おそらくSFとはまったく関係の無い事件だったのではないか。初動捜査でSF警察が出てきたことが間違いだった。
などの批判の声もあるが、これも当時SF警察に就職していなかった小生には関係のない話である。
ともかく、小生はこれから俗世間とは離れ、優雅な上流階級である『ニーテスト』になるので、そこのとこよろしく。給料泥棒の進化系である。
という話をハカセにしたら、鼻で笑われた。
でも、追い出されなかったのでセーフである。
一件落着。
しかし、今回はあまりSFの話をしていないような。
『猫型ロボットのお話はSFですか?』
これでオッケー。問題無し。
<ぬくぬく>
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