第12話 SF論文

 第一部完、という名のサボりをしていたら、SF警察に怒られたので、また仕事をすることにした小生。けっしてSFガチャを回し過ぎたわけではないのである。

 SF世界の課金ガチャは地獄である、とだけ言っておこう。

  

 さて、この文章はSF警察に提出している論文を、小生が流用させているのだが、どうも最近過大評価気味である。


 これはメスを掴み、SF警察の内部事情を快刀乱麻するお話ではございません。

 SF警察から給料を貰う為に、小生の日常を綴った日記なのである。

 

 まあ、そのSF警察が現在、SFという言葉の定義を決める為に内部抗争中のため、小生は仕方がなく、自分で『SFとは何ぞや』ということを考えているのです。

 ご了承くださいませませ(ぺこり)


 SF警察は『SFじゃない』という言葉を使いますが、小生、昔『ライトノベル』というジャンルの本を読んでいましたとき、『こんなの小説じゃない』という言葉を頂きました。


 小生は『なぜ小説じゃないのかい?』と尋ねると、その人物はこう言うのです。


『小説の文章はそんな適当じゃない。描写ももっときちんとしている』


 小生は『それでも面白いよ』と返しましたが、その人物は首を横に振るだけでした。そやつにとって『小説』と『ライトノベル』はまったく別の作品形態なのです。

 

 小生はそんなこと気にせずに、今も小説として『ライトノベル』を読んでいます。ですが、気にする人は気にするようで、『そんなレベルの低い本を読むのか?』と言う人もたまにいます。


 何ですかねレベルって。RPGですか?

 と小生は思いますが、適当スマイルでスルーします。


 これと同じようなことがミステリー界でも起きます。

 小生がある作品をフェアだと判断しても、他の誰かはアンフェアだと怒ったりします。『こんなのミステリーじゃない』という言葉もよく耳にします。


 逆に『こんなのファンタジーじゃない』という言葉はほとんど聞きません。

 ホラー界もあまり聞かない気はします。


 この違いはどこから来るのじゃろ?


 小生は杏仁豆腐を食べながら、考えた。

 

 ジャンルの懐の広さ――では無いと思います。

 懐の広さならば、SF界はもの凄く広い。

 広すぎてジャンルの枠組みを見失うぐらいです。


 つまり、逆転の発想。

 答えは『分かり易さ』なのではなかろうか。

 ファンタジーやホラーは、そのジャンルが分かり易い。

 これがそうだと断言しやすいのである。


 だが、SFやミステリーは懐の広さが広がり過ぎた結果、それぞれの分野の円が重ならないのではないだろうか。円が重ならないから、お互いに否定してしまうのだ。


 おお、珍しく結論のようなものが出たぞ。

 これでSF警察から金一封である。

 これでSFガチャを回せるぞ。

 

 このときの小生は、この結論がSF警察を更なる混乱へと導く元凶だとは、まったく気付いていなかったのである。 


<続く?> 

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