第3話 VRMMOとSF警察

「つまり、SFというのはVRMMOよ」


 エルフ先輩はなぜか薄い胸を張って宣言した。

 彼女は私の先輩である。それ以上でもなく、それ以下でもない。


 ちなみにVRMMOというのは、なんとかオンラインゲームという意味で、仮想現実の中で肉体を持って遊べるゲームだ。

 もっとも物語の中の話で、現代では実現されていない。

 

 それはSFではなくて、ゲームではなかろうか?


 小生はいつも正直者なので、正直に答えた。それが現実に無い技術だとしても、ゲームはゲームである。ちなみに小生は『連射王』が好きだ。



「違うわ、SFよ。だって、VRMMOなんて現実世界じゃ不可能の産物だわ。つまり、実現不可能な未来。つまり、SFよ」


 ほうほう、確かに実現不可能な未来はSFである。

 ならば、VRMMOはまさにSFであろう。


 小生がそう納得しそうになると、なぜかSF警察の同僚が現れた。この男はもしかすると、小生をストーカーしているのかもしれない。


「こら、エルフ娘! 適当なことをぬかすな。VRMMOはSFじゃない」

「じゃあ、何よ。この変人X」

「簡単だ。ファンタジーに決まっている! SF的小道具を使っただけのファンタジーだ。俺は騙されないぜ」


 ふむ、確かにVRMMOを題材にした作品はファンタジーゲームをプレイすることが多い。小生、一理あるなと感じた。


 では、でっかい女がVRMMOで小さい女になって、銃を使って皆殺しにする小説ならばSFではなかろうか? と小生は尋ねた。


「それはSFじゃなくて、FPSだ。簡単に言えば、ゲームはSFじゃない」


 ゲームはSFじゃない。何と分かり易い言葉だろうか。

 小生、エルフ先輩に吹き飛ばされた同僚を見つめながら、真理に近づく。


『それはゲームであっても、SFじゃない』


 では、宇宙人がゲームをやっていたらSFだろうか?


 その問いに答えられる者は、ソラへと帰っていった。

 それはETのようだった。


<三完>

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