第30話 「LUST」Summer of '69

「なあ、ロジャー、俺には錆の塊にしか見えないんだが‥‥」

「ひどいこと言うなよ、口径の大きい砲が欲しいって言ってたじゃねえか。‥‥

まあ、確かに錆の塊にしか見えないのは否定しない。でもよ、ジャンク屋の姉ちゃん達のイチオシだっだんだぜ!何せ前世紀の兵器だからよ、メンテナンスも簡単、壊れにくいってな。」

‥‥大仰にジェスチャーを交えてのロジャーのプレゼンはヒートアップしていった。

なんでこんな必死なんだ?‥‥ひとまず話が終わるまで我慢、我慢。

そのあと30分は喋り続けただろうか。

いい加減にうんざりしてきたところに、となりで黙って聞いていたミフィーが耳打ちしてきた。


ピーターは吹き出しながらうなづくと一言、ロジャーにこう言った。

「ジャンク屋の姉ちゃん達、金髪だっただろ!?」

‥‥キュルルッ!ブオ!ドロロロロロロロ‥‥

ロジャーはエンジンを始動させ、けたたましい音を立てて、「なんか言ったか!?」

ととぼけて見せた。まったく。

ミフィーも笑っていた。なんだかどうでも良くなって、3人で大笑いした。

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