第27話 Manic Street‘sPreacher
人々はその男を、「Manic Street‘s Preacher」
つまり「マニックストリートの牧師」と呼んだ。
齢にして80を過ぎ、しかしその眼光に衰えはなかった。
流れ者の彼の過去を知るものはいなかったが、海賊王ガブリエル・ドレッドノートとは旧知の仲だった。親子ほど、いや祖父と孫ほど歳が離れてはいるのが奇妙だった。
「マーケティングの話をしようか。ガブリエル。」
「意味が良く分からないな・・・・マーケティング?」
「まぁ、聞け。海賊王と怖れられるだけでは人々の心は掴めはしない。
かつての宣教師たち・・・特に大国から渡ってきた者たちは自分たちの思想を強要するばかりで、その土地の信仰の対象を尊重しなかった。西から渡って来た者たちは、その土地の信仰の対象を尊重し、その地の人たちに役立つことを行った。その上で自分たちの信仰を伝え、人々に比較させ、自らの意思で選ばせた、ということだ。」
彼は週末ごとに集まった人々の前に立ち、自身の経験から得た教訓などを話した。
ある日の彼のスピーチはこんな内容だった。
「かつて若き日、マーケット・ストリートあたりをぶらぶらしていてそこへ出向き暇をつぶしたものだ。
顔見知りの奴らとよくくだらない話をしたものだ。
俺は歌い方を知っていたし、奴らはポーズの決め方も知ってた。
1人はブラックのレス・ポールを持っていた。そう、伝説のハートアタック・マシーン。
全ての若きパンクスへ
人生なんて笑いとばせ。 泣くに値することなんて何もない。
全ての若き愚か者へ 今を生きろ。 死に値するものなんて何もない。
当時ストリートに集まるやつらは、みんながなんとかしてロックンロール・コースターに乗りたがっていた。
俺たちは幸いにもそれに乗った。自分たちの名前がポスターに大きく印刷されていたのを見たときに
興奮したものだ。
当然 マネージャーもいた。 けど、彼はマフィアじゃない。
契約は契約、 彼らが話を持ってきた時はそういうものなんだ。
多くの若者は足をひきずって仕事へ行き、 寝る時は身体をひきずる。
すぐにお払い箱になる者も多かった。先週勤め始めて、今週の半ばぐらいまでには。
良く仲間と語ったものだ。
「まっすぐ向いてみろよ。夢は耀いてるぜ。まるでゴールドのようだ。」
しかし多くのものは気がつく。近くなるにつれ、それは石炭のかたまりに見えてくるんだ。
でも、ゴミよりはマシだろ。仕事があるだけ。
ただ、青春を無駄にする所なんてどこにもない。
腐らずにいれば運良くブーツを手に入れることもできる。
全ての若きパンクスへ
人生なんて笑いとばせよ。泣くに値することなんて何もないぜ・
全ての若き愚か者へ 今を生きろ。 死に値するものなんて何もないぜ。」
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