Division AKでの娯楽、その中でも最大のものが、SK港地区にある競技場で毎週開催される「motorhead」だ。

いわゆるサイボーグのレースで、「motorhead」という丁度、人間の頭骸骨を模した不規則にバウンドする金属製のボールを奪い合い、最後にボールを手にした状態で周回を終えたものが勝利する、という競技である。

motorheadの参加レギュレーション自体は特別、細かい決まりはなかったがレースの性格上、ボールの保持よりもお互いの妨害や破壊など、荒々しい展開になることが多く、参加者は全身の90％以上をサイボーグ化したものがほとんどだった。

毎年、新しい装備やエンジンが発表され、毎度変わる勝者に、観衆は熱狂した。

現在のトップは、チーム「rosso」のジャマダハル、砂漠地区の出身で、過去に19回、優勝経験があった。何度も破壊されたり、コースアウトにより再起不能と言われたりしたが、その度に奇跡の復活を果たし、長年トップに君臨し続ける人気選手だった。現在までの記録では通算で20回優勝は過去に例がなく、今季の活躍にファンも息を呑んで毎週のレースを固唾を飲んで注目していた。