第7話 go! rabits go!!
「やべえな。」
ピーターはスロープを走りながら舌打ちした。
今回の獲物は帝都の武器庫街、アーセナル・シティの中心部。
新型のスピーダーバイクを強奪するために潜入したものの、予想外の敵に行く手を阻まれていた。
走る足音を20ミリ機関砲が撃ち抜いて行く。壁沿いに設けられた螺旋状のスロープを駆け上がり、なんとかすり抜ける。
鋼鉄製のスロープが簡単に蜂の巣になっていく。立ち止まったら、殺られる。
笑えてきた。走りながら階下を見る。
帝都防衛隊所属、自律型多脚戦車。
索敵用に音響ソナーを装備した拠点防衛タイプ。武装は20ミリ機関砲、スモークグレネード。パスコードが確認できなければいかなるものも蜂の巣にしてしまう。
盲目の守護者(ブラインド・ガーディアン)帝都最強の守衛だ。
6本の脚で移動するその容姿は巨大な毒蜘蛛に似ている。
「下がってろ、ピーター!!」
なにかが飛来するヒュルルルという音。
「マジかよ!!!」
走るピーターのすぐ横を、ロケット弾が階下に飛んで行った。
多脚戦車の天面に命中、凄まじい轟音。
さながら脱皮したクモのように脚部を投げ出して、多脚戦車は動きを止めた。
屋上の換気用ハッチからミフィーが撃ったのは、赤外線誘導の対戦車ロケットだった。通常、二人で運用する兵器だが、怪力のミフィーは一人で担いで屋上まで登ったらしい。
「ははは、良い運動だったな。」
「うるせえ、俺に当たったらどうすんだよ!」
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