第6話 black cort,white shues,black hat.....and [seventeen]
ハロゲン弾を装填しながら、今回の依頼主の事を考える。
この界隈で一番危険だと言われる、旧市街。
その中でも、とりわけならず者やお尋ね者の巣窟、Division AK。
その魔窟のぬし、「King of AK」ザ・マウンテンからの依頼だった。
ある午後、黒地にゴールドのいかにも成金好きそうな、悪趣味なコンチネンタルシップに乗って、マウンテンは現れた。その出で立ちはジョルジオの黒いコート、ストライプスーツにハット、白い靴、ステッキに葉巻。何よりも200キロを越す巨体に、ギョロッとした目が印象的だった。
さながら前時代の悪人、もうムービーデータでしか見られないような出で立ちをしていた。
ストライプスーツに身を包んだ手下を数人従え、彼は重たそうな体を揺すって近づいてきた。
「レインメーカー、仕事を依頼したい。」
葉巻をくゆらせながらマウンテンは言った。
「‥‥禁煙。」
顔も見ずぼそりと呟く。
「なに?」
緊張がはしる。
「禁煙だっつってんだよ。」
ようやく顔をあげて、マウンテンを見る。
どよめく手下たち。銃を抜く者も居た。
「まあ、まて。」マウンテンはことさらゆっくり、葉巻を消し、手下をなだめた。
「レインメーカー、わしを知っているか?」
「・・・マフィア。」
「おいおい、廃品回収業は、マフィアではないぞ。」
「廃品回収業は、死体の製造と回収もやってんのか?」
「・・・面白いガキだな。まあ、良い。今回はビジネスで来た。」
マウンテンはステッキで足元をコツコツ、何度か鳴らしてゆっくりと帽子を取った。
「レザボア「Dogs」聞いたことはあるか?」
「知ってる。」
「話が早いな。まあ、要するに、奴らのタンクローリーを水でいっぱいにしたいのさ。質問は?」
「‥‥無い。場所と時間は?」
「賢明だな。日時は明後日正午。方舟の南、3マイル。報酬額は1200クレジット。どうだ?」
「問題ない。」
「Dogs」を知らないはずはなかった。レインメーカーが雨を降らせ、その一瞬のオアシスに現れては水を確保し、売りさばく。ハイエナのような生業。ただ、レインメーカーに依頼して水を確保する、なんてことは今まで前例がなかった。しかも相手はあのマウンテン。きな臭さ満点だが、1200クレジットの報酬なら受けない手はない。
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