最終話 東京駅、終わりの始発駅


 夏休みシーズン最中のにぎわいをみせる東京駅、東北新幹線ホーム。

 入線しているE5系新幹線の表示器には、はやぶさ11号・新函館北斗行き、の表示。


 その1号車車内。

「もー! これでやっと鉄研らしい、遠くへの旅行に行けるってもんね」

「そうよね。私たち、今年に入ってから忙しくて、あんまり旅行らしい旅行、行けなかったもんね」

「でも、行けるわね」

「大倉参与と竹警部が手配してくれた」

「グランクラス!」

 みんなは新幹線の最高クラス・グランクラス車内で、荷物を収めている。


「うむ、北の大地で、絶品のお寿司とウニとカニとイカソーメン、そして札幌ラーメンが待っておるのだな」

「小樽の鉄道記念館訪問も楽しみですわ。除雪車キマロキ編成もあると聞いております。模型のためのディテール観察がはかどりそうですわ」

「それに、JR北海道苗穂工場の特別見学もさせてくれるのよね」

「でも、ぼく、北海道初めて行くんだけど、パスポートどこでチェックするの? 青函トンネルの中?」

 華子が聞く。

「そんなわけが、ねいのであるな」

「華子ちゃん、北海道に、パスポートは、いらないのよ」

 華子は真っ赤になった。

「……またボクをバカにする―!!」

「でも、そう怒った華子ちゃんも、愛らしいですわ。それに、毎回こうしてみんなと旅行できるのが嬉しいです」

「そうね」

「そういや、マゼンダとアスタリスクは?」

「ああ、仕事抜けらんないって」

「そうか、AIだもんね」


 *でも、見ていますよ。


「うわっ、マゼンダ! いきなり声ださないでよ」


 #すみません、遅刻ですか? まだ時間前なのに。


「そうか、アスタリスクちゃんは鉄研時間知らないのね。5分前の5分前で最大30分前に集まるって」


 #それは、非常識ですよ。


「そうかもなあ」

「AIにそれを言われても」

「それはAI差別!」


 新幹線のアナウンスが、まもなく発車と案内している。


「でも、みんなこれで揃ったわね」

「ええ」

「じゃあ、発車前に、あれやろうよ」

「え、あれ?」

「うむ、さふであるな」

 総裁が、手を上げた。

 みんなでハイタッチする。


「今日も、ゼロ災でいこう、ヨシ!」



<鉄研、バーズアウェイ! 完>

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