第49話 何も考えていなかった。

 そういえば、小説の出会いってそんなに考えていない。私はプロットや登場人物さえ考えずに、行き当たりばったり書いていくので、途中で矛盾が生じたりもする。戻ってそこを修正する。何もかも決められた中で書くのが嫌いなので、何にも考えずに書き出す。


 でも今回はトリップの時代ものなので、さすがに考えた。誰が主人公で、誰と出会い、トリップしたときになにを学び、現代に戻ったらそれを生かしてどう行動するのか。起承転結くらいは考えないと物語が頓挫してしまうし、コンテストに応募したかったので、それだけは考えた。


 出会いも、ここにトリップして、だれそれに会いましたでは面白くないと思い、「あの男」に出会ったとわざとぼかして、歴史的な背景を次々と出していき、主人公がいったい誰と出会ったのか、読む人に推測させる出会い方にした。早い人では主人公が、孫子の話で『討つ日と討つ場所を決めたんだな』という主人公の言葉で気づき、次に早い人では『くぼ地だな』で気づくようにさせてある。

 今回出会いにこだわったのは、読む人に謎を抱かせないと読んでいただけないと思ったからだった。

 小説は、最初の一文で決まってしまう。


 私も読む小説と読まない小説があるが、最初の一文だけで、読む、読まないを決めていたので、出会いとか最初の部分は最も気を使う部分ではないかと自戒している。


 一文を見て、読もうと思うのはごくわずかだ。これだけ電子書籍が溢れているなか、読む、読まないを決めるのも時間がもったいないので、最初の冒頭部でどうしても決めてしまう。


 やはり、オーソドックスなものより奇をてらったものに、私は目がいく。以前、長編小説を書こうとして、最初に伏線をはっていたら、「ありがちな設定ですね」「つまらない」と感想を書かれて、「まだ一話だよ?」と思ったのだが、たしかにそれはもっともであり、最初から読む人をひきつけないと、読むひととの出会いもないと思ったのだ。


 その経験から伏線をはるのは、あとにして、最初の出会いは奇をてらうことになってしまった。これで少なくとも何人かの読者と出会えるようになった。


 でも適当に書きたいときは適当垂れ流しで書く。でも私は所詮、初心者なので、小説の書き方もよくわかっていない。一度ちゃんと習いたいものだとは思っている。


 そして、私は唯一、スペースファンタジーが書けない。昔から超現実的で、そういった類の本を読まずにきてしまったせいでもある。これからは苦手なスペースファンタジーものにも挑戦していきたい。実は恋愛小説も結構苦手で、今書いている時代小説にも、一切恋愛は出てこない。真剣な恋愛小説というものにも、いつか挑戦したいものだ。


 しかし、小説はあくまでも趣味である。これが仕事となるわけもないが、なってしまったら、しんどいだろう。書くことを楽しみたいと思う。


(お題:小説の出会い 制限時間:30分 文字数:1197字)

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