第43話 パラレルワールド。次はXX子さん→


 私は二つの場所で生きている。つながっているのは押入れの奥の扉だ。その扉を見つけたときは、腰がぬけるほど、びっくりした。今、この世界では、豚骨ラーメンを食べながら笑ってテレビを見ている。しかし、押入れの奥の扉を開けると、そこはまるで戦場だった。


 これがいわゆるパラレルワールドなのだろうか。私は二つの世界に同時に存在するのだ。高校に行っても、つまらない授業だけ。彼氏もいないし、楽しくない。そんなときは、刺激を求めて、パラレルワールドに行く。


 そこでの世界は、私は明日パンを食べるのにも困る、貧乏人だ。そして革命らしきものが起こっていて、怒った民衆とともに、暴れてあの女の住む宮殿に押しかける。もう、その光景はめちゃくちゃだ。貴族といわれる人たちを手当たり次第に殺して、女の住む宮殿に切り取った下半身を投げ入れる。民衆皆が暴徒と化していた。原因はその女が国の財政くらいの高価な値段の首飾りを買ったとか買わないとか。歴史の知識がある私は、その件はあの女を陥れる詐欺だとわかっているが、貧乏を強いられている国民たちの怒りはとまらない。


「パンがなければ、お菓子を食べればいいじゃないかしら」

なんて、言ったらしく、それにも民衆は怒っている。暴力、殺しなどを間のあたりにして、刺激的なものを見ると、私は満足して、押入れの扉を閉めて、いつもの生活に戻って、豚骨ラーメンを食べる。


 こちらの世界で歴史の本を読むと、もともとオーストリアのマリーテレジアという女帝の娘であって、貧乏を知らず、フランスに嫁いで、王妃から、死刑囚という、最高の位から最低の位まで経験した単なる歴史の波に飲み込まれていった犠牲者とも言えるらしい。


 豚骨ラーメンを食べていると、急におなかが痛くなり、

「うっ」

と私はうめき声をあげた。口からは血があふれ出している。


 そのころ、向こうの世界の私は、暴れすぎて憲兵に捕まって、槍でおなかをさされて、血を口から吹き出していた。


 両方の世界の私は、おなかのまわりに鮮血を帯びている。その血を見ながら、パラレルワールドはやはりなんらかのかたちでつながっているのかと思う。幸いなんともない怪我ですんだが、今度は家にあるロフトにまた扉を見つけてしまった。この扉を開けるときっと第三のパラレルワールドが待っている。しかし、いくら現実の私が高校の授業が暇で彼氏がいなくて、退屈だとしても、三番目の世界を知るのは、怖すぎる。二つの世界で手一杯なのだ。



 私は考えた。豚骨ラーメンを食べて、

「勉強がつまらないし、彼氏もいないし、なんか暇~」

なんて、言っているうちが花だったということを・・・・・・。この世界が一番平和で、いくつもの世界で生きているとしたら、一番心地のいい状態だ。



 だけど、私は好奇心が抑えられない。第三の扉を開けたら、どんな世界が待っているのだろう。また革命下の世界だったら困るけど、アダムとイブが住んでいるような美しい世界だったら・・・・・・。どうしよう?私は一週間くらいはあけるかどうか考えていた。



 そして、ついに私は扉を開けてみたら、そこは・・・・・・・。


 (小説リレー書きました。つぎは、XX子さんお願いします)


( お題:2つの場所 必須要素:豚骨ラーメン 制限時間:30分 文字数:1342字)

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