第35話 ポストインで体重2キロ減りました。

『あけましておめでとうございます。昨年はお世話になりました。今年もよろしくおねがいします』

そんな年賀状が次々と届く元旦。今日は初詣にも行き、神様に『今年こそは飛躍の一年になりますように』とお願いしてきた。


 そんな僕に一冊の本が届けられた。通信販売の無料配布のものかと思ったら、本だった。しかも質問形式になっている本で、『何かのサービスだろう』と思って、読んでいくうちにだんだん僕は腹がたってきたのだ。


 1ページ目。『なんであなたには恋人がいないのですか?』

 そうだなあ。積極性に欠けるし、自分に自信がないからなかなか告白できないからかな。


 2ページ目。『あなたはなんでそんなに仕事ができないのですか?』それは・・・。折衝も下手だし、不器用だし、やることなすことのろいからかな。


 3ページ目。『あなたはどうしてそんな性格なんですか?』

 それはね~。親から受け継いだものもあえるし、この優柔不断な性格もなんとかしたいと思ってる。


 4ページ目。『あなたの容姿はどうしてそんなんですか?』

 そうだね。遺伝だから仕方ないよ。もっと美男子に生まれたかったけどさ。


 5ページ目。『あなたはそんなんで生きていていいと思いますか?』

 あのね~。自殺したくもないから、生きていくほかないでしょ。いったいどないせいっちゅうねん。僕は、うるさい小説だと思って、ゴミ箱に捨てようとしたとき、6ページ目が目に入った。


 6ページ目。『この小説を捨てる気ですか?』

 そう思っていましたが・・・。僕の考えていることがわかるような小説で怖くなった。


 7ページ目。『捨てるとバチがあたります』

 そ、そうなんですか?かなりうるさい小説だけど、持っていたらいいんですか?


 8ページ目 『特に持っていてもいいことは起こりません』はあ、もういったいどうしたらいいですか?


 9ページ目 『広めてください』

 広めるって?


 10ページ目 『たくさん送ります』

 いらいって!友人もそんなにいないのだから。


 2~3日たって、怪しげな宗教団体から怪しげな教祖の本が僕の家に大量に送られてきた。こんなのを友人に配ったら、僕が怪しげな宗教団体に入ったと思われる。だから僕はマラソンと称して、この本をポストにいれる日が続いている。


(お題:うるさい小説 制限時間:30分 文字数:973字 )


 

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