第20話 干支変更書類が難しかった。

 我輩は猫である。名前は『にゃン太郎』だ。似たような忍者アニメがあるが、勘違いしないでくれたまえ。ところで、我輩がなぜ、ねずみを憎み、復讐に燃えているかは、もうご存知なお話だよね。


 例の干支を決める日を、我輩はねずみに間違った日を教えられて、その日は甘栗を食べて、のんびりしていたのさ。我輩は、ねすみに騙されたことを知らず、次の日に出かけたらもう干支が決まっていて、選考から漏れてしまった。しかもねずみはちゃっかり一番に到着して、干支の一番バッターをもらっている。それで我輩は、復讐のため、ねずみをいじめているんだが、この話は子供の童話に出てくるような話だそうな。


 そこで、我輩は神様に頼んで十三支にしてくれないか、頼んだのである。「トムとジェリー」だって、ブルドックとトムという主役の猫とジェリーというねずみが出てくるではないか。犬とねずみがいて、猫がいないなんて、そんなのはおかしくないか?


 そう頼むと、十二支という形態は崩せられないらしく、一も二にも反対されてしまった。十二支のうち、変わってくれる動物がいたら、我輩も干支に入れてもらい、猫年というのを作っていいということになったのだ。


 しかし、十二支でいらない動物ってなんだろうと我輩は考えた。ね、うし、とら、う、たつ、み・・・。なんだか皆必要そうだし、我輩より強そうで交渉に行くのが怖い。


 羊くんならどうだろう?おとなしいし、「ひつじのショーン」で売れっ子になっているし、メディアでの露出も、もういいだろう。


 そこで我輩は羊くんのもとを訪れ、干支から下りてくれないかと頼んだのである。羊くんはおとなしい素直な性格で、テレビの出演も忙しく、あっけないほど早く、干支を変わってくれた。こうして、我輩だちの「猫年」なのものが生まれたのである。


 「馬年」が終わって、さあ我輩だちの「猫年」だと思うと、ワクワクドキドキした。やっと我輩たちも干支の仲間入りで、今こそ猫の威力を見せるときだ!


 ・・・・・・と思っていたら、やはり羊年になっていた。我輩は神様のところに抗議にいったのだが、必要な書類が提出されていないということだった。12年に一度のチャンスを逃した我輩はショックだったが、今度こそ、ちゃんと干支入りすべく、必要書類をもらってきた。


 *****干支入り・変更書*****


 (名前) 猫

 

 (本籍)


 (住所)


 (電話番号)


 (FAX番号)

 

 (メールアドレス)


 (世帯収入)


 (カード番号)


 (干支入り変更の理由)


 *******************


 我輩は驚いた。今は個人情報が大切だから、これだけのことを記入して書いて審査に通らなければ、干支入りできないと神様に言われたのだ。


 猫としか書くところがないじゃないか。要するに干支を変えるのが面倒な「干支本部」がやっかいな書類を作って、変えさせないようにしているよいうことだけはわかった。我輩の種族は永遠に干支入りはできないらしい。神様が、どれかが引退したら干支入りできると言ってくれたので、ただいま、引退まちである。


 我輩は仕方なく干支入りを諦めたが、皆のアイドルの「にゃんこ」ちゃんが、

「にゃン太郎さまはよくやってくださいましたわ」

 と言ってくれて、嬉しかった。こうして、干支入り事件がきっかけとなり、我輩はにゃんこちゃんと結婚して、幸せな毎日を送っていた。


 心が満たされてくると、ねずみへの復讐も馬鹿馬鹿しくなって、やめてしまった。そのうち、「なめ猫ブーム」が起こり、おいらたちはメディアへの露出も多く、人気ものになった。なんで、学生服着て、鉢巻していたのかは謎であるが、あれでひと稼ぎできたのも事実である。


 たとえ干支に入れなくても、我輩は干支の動物よりもメジャーであるからどうでもいいことである。第二の「なめ猫ブーム」がやってこないか、今はブレイク待ちだ。


 我輩は猫である。名前は「にゃン太郎」だ。忍者ものに似たような名前があるが間違えないでくれたまえ。出演のオファーはいつでも待っている。


 

 出演オファーはこちらまで


 にゃんたろう   東京都港区XXXX


(お題:猫の復讐 必須要素:甘栗 制限時間:1時間 文字数:1749字 )

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