北條青赤 〜ホウジョウセイセキ〜

4月16日


「お待たせ」


 いつもよりほんの少しだけ早めに仕事を切り上げて午後11時まで開いているスーパーで買い物をした僕は、花火が待っていない自宅には帰らずに北條青赤さんの家へとやって来た。


「プロデューサー、お仕事お疲れ様。悪いけど先に始めさせてもらっているよ」


 3LDKの一軒家で1人暮らしをしている青赤さん宅では園崎真蓮さんや羽場雄星さんと言った姫路プロジェクトの20代前半の男性アイドルが集まって鍋パーティーをとり行われていた。僕は20代前半でも男性アイドルでもないが、青赤さんから直接お誘いを受けたのでこの集いの平均年齢を底上げするために参加させてもらった。


「そうだ! 青赤さん、鍋の具材にと思っていくつか食材を買って来たからまだ皆が食べられるのなら使って」


「わざわざそんな気を使わなくてよかったのに」


 先に来ていたメンバーと同じ鍋をつつき合いながら最新ハードのゲーム機で巷では『友情破壊ゲーム』と称されているファミリーゲームをプレイしていた青赤さんは応援しているチームが今日の試合に勝利したことで悪酔いはしていない雄星さんにコントローラーを託して、全体の2割ほどしか入っていない鍋に僕の買って来た食材を適当に切り分けて投入した。


「すぐに出来るから待っていて」


 青赤さんはそう言うと僕にプラスチックのコップを渡して、その中に金色に輝くビールを注いでくれた。しばらくして出来上がった鍋は僕としては珍しく大勢で食べる食事だからなのか、大変おいしかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る